53話 ページ15
「ねぇ、本当に外に出ていいの？」
彼女は心配そうにこちらを見た
「うん、お母さん今出かけてるみたいだから」
薄暗い廊下が私たちの声を反響させ、道のりの長さを感じさせる
彼女は部屋から出ないから筋肉の衰えがあるのか、少し疲れているように見えた
「少し休む？」
「ううん、まだ歩きたい」
目を爛々と輝かせながら答えた
外が楽しみで仕方がないのだろう
何でもない話で時間をつぶそう
「君は、生まれたころからここにいたんだよね」
「ええ、生まれたときからずっと」
「お母さん以外の人は知ってる？」
「本でたくさん読んだからわかるわ」
「…外は楽しみ？」
「ええ、でも少し怖い」
扉がだんだん見えてきた
「お母様が言ってたの、外は怖いけれどもそれに比例するぐらいきれいなものがあるって
私は知りたいの、外の怖いところも、きれいなところも」
ああ、この子はとても強い子だ
ついに扉の前に来た
「ここからは出口まで目隠ししてあげる」
「どうして？」
「楽しみは取っておくべきでしょう？」
この子には母親の無残な姿を見せられないし、彼女もそう望んでいるはず
ゆっくりと廊下の扉を開けて、木製の床を音を立てながら歩いていく
「まだ？」
「まだだよ」
「…なんだかいいにおいがする！」
「きっと仕込みの途中なんだよ」
「私ね、お外でみそしる飲んでみたい！」
「それは素敵だね」
「その時は、あなたと一緒がいいな」
「外に出たら手をつないで歩いてあげるよ」
「エスコート？」
「うん、いい響きだね」
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曇天に笑う - 更新してほしいです！ (2019年6月1日 8時) (
レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)
鯖缶(プロフ) - イムさんさん» もったいないお言葉です！喜んで頂けて幸いです！あと、返事が遅くなってしまい申し訳ございませんでした (2019年4月1日 2時) (レス) id: f71cad7af8 (このIDを非表示/違反報告)
イムさん - 中也パイセンイケメンすぎる……! (2019年1月27日 22時) (レス) id: e7f7ec6ca4 (このIDを非表示/違反報告)
鯖缶(プロフ) - 曇天に笑うさん» なかなかアイディアが浮かばないのでリクエストなど、参考になるものを頂けませんか?宜しければお願いします (2018年12月28日 0時) (レス) id: aa7bacf7ae (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - 続き見たいです！ (2018年12月23日 14時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鯖缶 | 作成日時：2018年12月6日 17時
