イロコイ・ライン 6th【ars K.N】 (ページ17)

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217.枕。ページ17

「それは先生がAちゃんを大切にしてくれてるって事だよ！」

なんて。
いろはちゃんは言ってくれたけど。

「大切に...ね」

自分の部屋でベッドにボスンと寝転び、枕に顔を埋める。

普通のカップルは付き合ってどれ位でそーゆー関係になるんだろう...
あぁ、それをいろはちゃんに訊けば良かった！

頭を撫でられて

手を繋いで

ハグされて

触れるだけのキスをして

満足してない訳じゃ無い。

気持ちはすっごく満たされてる。

だって先生のくれる一言一言は、『愛を囁く』って言葉がシックリ来てしまう程に甘くて優しい。

だけど...

充電器に繋いでるスマホが震える。

見ると、先生からの『お疲れ様』ってLINE。
毎日、夜に送って来てくれるあのLINE。

『お疲れ様です。今日、いろはちゃんとご飯に行ったんだけど良いお店だったから先生とも行きたいな』

ベッドにゴロゴロしながら、返信する。

『お酒は飲ませないよ？』
『先生が居れば大丈夫でしょ？』
『お前はオレに介抱させるつもりか！笑』

介抱、してくれるならして欲しいよ...

一晩中、側に居て欲しい...

朝起きたら隣に好きな人が寝てるのって、どんなに幸せなの？

『ねぇ、先生』
『なに？』

指が勝手に、動いたような気がした。

『会いたい』

時計を見るともう23時も過ぎてて、明日も先生は学校で

『A、明日仕事じゃないの？』

その返事に、小さく息を吐き出す。

『仕事だけど...』

既読がついてから、暫く返事が来なくて

会いたい時は、ちゃんと言えって言ったのは先生なのに...なんて思ってまた枕に顔をグリグリ押し付ける。

ブル、っと震えるスマホ。

どうせ、今日はもう寝なさいとか...そんな返事なんでしょ。

『15分で着く。マンションの下で待ってなさい』

...えっ！？

勢いよく起き上がって、もう1度メッセージを見直す。

「15分で...」

慌てて髪を手ぐしで整えて、そしたら急にドキドキして来て

部屋にいても落ち着かないから「ちょっとコンビニ行ってくる！」とお母さんに言って、家を出た。

マンションの下に下りても、もちろんまだ先生の車は無くて

でも、もうちょっとしたら先生が来るんだ...って思ったら胸がギュウ...ってなる。

でも先生、どう思ったんだろう...突然、会いたいとかやっぱり迷惑だって思ったかな...

あー！何か今更不安になって来た！
どうしよう！？

頭を抱えてその場にしゃがみこんだ時

私のその間抜けな姿は、車のライトに照らされた。