イロコイ・ライン 5th【ars K.N】 (ページ40)

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200.嘘が下手。ページ40

結局、家までの短い時間ではどこに行きたいかなんて考えられなくて

そのまま、バイバイした。

それから土曜日までの間でも、色んなタウン誌を読んだりいろはちゃんに相談したり、情報番組のお出掛け特集なんかを見てもどうもピンと来なくて。
違う、どれもこれも「良い！」って思っちゃって一個に絞れないって感じ。

だって、どこだって隣には先生が居る。
極端な話、学校の国語科準備室だって先生が居るだけで特別だったんだから。

そんな中、金曜の夜に先生からLINEで『どこ行きたい？』って届いて、正直に『決められなくて』って返した。

『じゃあ、こっちで適当に考えとくから』って返事が来て、続けて迎えに来てくれる時間が届いて最後に『夜更かしせずに、ちゃんと寝なさいよ？おやすみ』って。

初デートを明日に控えて、寝れないー！ってベッドの上でゴロゴロしてた私を見てたかのような先生の言葉に、笑いが込み上げて来る。

私は新しいシャンプーで髪を洗って、お花の良い香りがするボディクリームを塗って、ベッドに潜り込む。
明日会えるのに、『先生が夢に出てきてくれますように...』って願うのは毎晩の事。

・

良い天気だった。

柔らかい陽射しと、冬独特のピンと張りつめた空気。

やっぱりあんまり寝られなくて早朝に目が覚めたから、いつもの10倍くらい念入りに用意して。
ダイニングでテレビを観ながら朝ご飯をのんびり食べてたら、私が仕事だと思ってたお母さんに「遅刻しないの？」って言われて、咄嗟に「今日は友達と遊びに行くの」って答えた。

彼氏できた...って言うべきかな...
10歳も年上の彼氏です...って、ビックリするかな...

「ねぇ、お母さん」
「なに？」
「お母さんとお父さんって、いくつ歳離れてたっけ？」
「3歳お父さんが上だけど、それがどうかした？」
「ううん、どうだったかなー？って思っただけ」

3歳差かぁ...二人は会社の先輩後輩だったっけ...
てゆーか、私の場合歳の差よりも彼氏が『元担任の先生』って事の方が親に話す上では問題だった...
だって、お母さんも先生の事知ってるんだから。
三者面談とかしたし。

「あ、もしかして年上の彼氏でも出来た？」
「えっ！？まっ...さかー！ハハッ」
「初カレ？」
「アハハッ、そんなんじゃ無いってー」
「フフッ、嘘が下手ねぇ。いつか紹介してよ？娘の彼氏がどんな人かは知っておきたいから」

...紹介しなくても知ってる人なんだけどな...って思いつつ、私はコーヒーを飲み干した。