イロコイ・ライン 5th【ars K.N】 (ページ19)

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179.そんな関係。ページ19

「いてててて！ちょっとニノちゃん！指は美容師の商売道具なんだから！」
「あ、こりゃ失礼。あまりにも無礼な指だったから、つい」

握ってた手をパッと開く。

「ちょっと、まーくん。結城さんの事知ってるの？」

若林さんが不思議そうに相葉くんに訊いた。

「うん、たまに行くカフェの店員さんなの。俺達の先輩だよ？」
「えっ...教え子って事...？」

あ.....どうしよう...先生が軽蔑されたりしない？
でも教え子ってのは本当だから、何も言えない。

チラッと先生を見ると、先生もチラッと私を見て微笑む。

「うん、教え子。約五年前まではオレの生徒だった」

どんな顔してたら良いんだろう。
思わず、両手をギュッと拳にしてしまう。

「今は彼女だけどね」

握ってた拳からゆるっと力が抜けた。
何それ...そうやってすぐに泣きそうになる事、言わないで。
どーせすぐにクッソー！って思うように意地悪な事言うくせに！

...悔しい。好き。

「わー！どうしよ、まーくん！すっごい格好良い！私、初めて二宮先生が格好良く見えてる、今！」

若林さんが相葉くんの肩をパンパン叩いてる。

「おい、若林。初めてって何よ」
「だって先生って、何か変な先生だったもん。顔は綺麗だなーと思ってたけど、それも『格好良い』より『可愛い』って思ってたからなー」

相葉くんが「可愛い！確かにニノちゃん可愛い！」ってゲラゲラ笑った。

「あ、お姉さん」

笑いながら相葉くんが私を見る。

「メアド、ちゃーんと消しましたからね！」
「あっ...」

「メアド？」と、先生が小さく呟いた。

恐る恐る先生を見たら、怖い顔してる。
怖い顔で、相葉くんを見てる。

「何でお前が結城のメアド知ってんのよ」
「えっ！？やだー、ニノちゃんってばヤキモチ？」
「まさかナンパしたんじゃねぇだろうなぁ」
「そうだったらどうする？」

グフフって楽しそうな相葉くん。

「そんなの、大坂にチクるだけよ」
「えっ！？待って！違う！」
「あ、大坂ってコイツの彼女。結城も見たことあるでしょ？」

今度は先生が楽しそうに私に話し掛けてくる。

「違うの違うの！ナンパじゃなくって、ちょっと用事があったから教えて貰っただけで...それに、もう消してるし！」

リン！どーしよー！って相葉くんは若林さんに助けを求めてるけど「自業自得だよね」って冷たく言い放たれてる。

そう言えば仲良さそうな2人だけど、若林さんは前に見た相葉くんの彼女では無い事に気付いた。