イロコイ・ライン 4th【ars K.N】 (ページ19)

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139.寄せ合う頭。ページ19

私はそのまま、いろはちゃんの家に行った。

号泣してる私を見て、彼女は大慌てで部屋に入れてくれた。

「遅くにごめんねぇ...」
「そんなの良いから！何があったの」
「...いろはちゃーん...もう駄目だぁ...」
「Aちゃん...とにかく座って？お茶、飲もうか」

ベッドに寄り掛かって床にペタンと座ると、両手にお茶の入ったコップを持って戻って来たいろはちゃんも私の隣に座った。

お茶を飲んで少し落ち着いてからついさっきまでの事を話すと

彼女は「それって結局、先生もAちゃんを好きって事でしょ？」って少し怒ったような口調で言う。

「...分かんない...」
「好きだけど、教師だから教え子には手を出せないってゆー葛藤だよね？」
「......分かんない...」
「そんなの、Aちゃんはもう大人なんだから気にしなくって良いのに！」
「...先生にとっては大人になってようが、教え子はずーっと子供なんだよ...」

言葉にすると、実感してしまってまたウワー...って泣いてしまう。

そんな私の肩をいろはちゃんは、ずっと抱いててくれて

コテンと頭を私の頭に寄せてくれた。

「最後に先生の本棚、見たかったなぁ...」
「そうだよね！部屋に入ってしまえばこっちのモンだもんね！」
「へ？」
「先生だって男だもん、好きな女と二人っきりになったらそれこそ制御なんて出来ないでしょ！？既成事実作っちゃえばさ！」
「いろはちゃん、大胆...」

アハッ、と笑ったら彼女は安心したような表情で私に頭をグリグリ押し付けた。

「...きっと、私は先生と恋人になんてなれないんだね...」
「どうして好き同士なのに、離れなきゃなんないの...。私、納得できないよ」
「いろはちゃん、先生って面倒な人なの」
「そうだね。相当面倒臭い男だね」

いろはちゃんがムスーっとして、ローテーブルに置いてるお茶を飲む。

「でもね、先生は私のコトを好きだなんて一言も言ってないんだよ」
「...言ってるようなもんだけどね」
「でも言ってない。核心には触れないの。そうなのかな？って思わせるだけ」
「ズルい...」
「大人はズルい生き物なんだって。先生、自分で言ってた」
「その言い方もズルい」

だよね、って私もお茶を飲んだ。

「もう、終わりなのかなぁ...」
「Aちゃん...」
「まだ終わらせたくなかったなぁ...」

何だか、フフって笑ってしまって

自分が笑った事にビックリしたら、今度はまた涙。

「アハ、情緒不安定」

泣き笑いの私をいろはちゃんが抱き締めた。