二人の関係3 ページ4
「Aさんとおひいさんって、結局なんなんすかねぇ」
ジュン君が聞いてきた。
「なんなんすかねぇ、って?」
「アイドルとプロデューサーという関係以外だと、なんなんだろう、ってことです」
お昼休み。たまたま食堂で会った私達は別々に食べる理由もないので一緒に昼食を食べていた。ジュン君が有名なユニット“Eve”のアイドルだからか、私達の近くによってくる人はいない。
私はサンドイッチをお皿に置いて、お茶を飲んでから答える。
「アイドルとプロデューサー以外となると、友達しかないと思うけど?」
「……それだと無理があるから聞いてるんすけどね」
「無理?」
「お二人が気づいてないだけで、周りからはそんな風には見えないんですよ。なんつーか、友達にしちゃ距離が近いっていうか、こう……」
だんだんジュンの声は小さくなっていき、最後は口を閉ざす。
……が、ここまで聞いてしまうと最後まで聞きたくなるのが私。いや、そもそも人の本能とすら思う。
「こう、何?」
「ここまで言って分かんないとか冗談っすよね……?」
「分かんないから聞いているんだよ。こう、何?君達には私と日和がどんな風に見えてるの?」
「……なんつーか、Aさんって意外と鈍感ですよね。おひいさんがかわいそうに思えるレベル」
「だから、どう見えてるの?」
ジュン君が言っていることがあまりにも理解できず、問いただす私の口調は強くなる一方だ。
ただ、ジュン君が日和に対してかわいそう、と思うことはそうないはずだ。だって、ジュン君の日和への当たりはそこそこ強い(冷たい、辛辣とも言う)。
それに、私に向かって言った“鈍感”という単語。
これは、もしやあれだろうか。ジュン君がするイメージは全くないあれ。大抵の女子が好きなあれ、すなわち。
「恋愛的に好きとかどうとかってやつ?」
「……まぁ、そうなりますね」
この手の話題には耐性がないであろうジュン君は少し恥ずかしそうだった。遠回しに言うのは大丈夫で、直球だと駄目なのか。
かわいいとこもあるなぁ、なんて思いながらついジュン君の頭を撫でた。
目を丸くしてハテナを浮かべるジュン君に言う。
「アイドル相手にプロデューサーと友達以外の関係なんてないよ。私も日和も異性って事を気にしなさすぎだから距離が近すぎたのかもね。…気を付けないと」
そう言われたジュン君は何とも言えない顔だった。
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