― drip ― (ページ18)

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インターホンが鳴って、玄関を開ければ耳が垂れた大型犬...じゃなくてパクチャニョル

　『お～すぐ来たね』
　

無言でそのまま部屋に入ってきて昨日座ってたソファとおんなじ場所に座る。

　「...たまごやき」

　『へ？』

　「俺もヌナの卵焼き食べたかった」

目おっきいな。パクチャニョル曰く本当はお腹すいてたけどかっこつけてジュースだけ飲んでたそうで。
私から見ればオレンジジュースも子供っぽいけど、それは言わないでおこう。

いわれるがままにキッチンに立って適当に料理を作って出せばぱくぱくたべる大型犬。

　『一人暮らしなら、自炊してるの？』
　「めんどくさい」
　「これからは毎日ヌナとご飯食べる」

　『..そのヌナ呼びやめて、恥ずかしいから』

　「やめたらご飯一緒でいい？」

　『うんうん。いいから。』

　「わかった！」

高校生でこのマンションに一人暮らしって色々不思議だったけど、ご両親はお仕事でよく不在で実家は少し遠くて不便だからと学校の近くに住むところを借りたらしい。

　『わたしそろそろお酒飲む...よ』

お皿を洗い終わってリビングの方を見ると、寝てるチャニョルくん。お酒を持ってソファには座らず敷いてあるカーペットに座る。

部活してたから遅かったのかな、確かバスケ部。服も着替えてるし一回戻ってシャワー浴びたのかな。色々考えてたら無意識に明るい髪に手が伸びてた。

高校生の割に傷んだ髪をさらさら撫でる。

こんな風に人に触れるのはいつぶりだろう。最後に恋愛したのは大学の時で、その時以来かもしれない。

........... 大学？

わたしが触れてるこの子はまだ高校生なんだ、と改めて気づくと手が止まる。慌てて手を退けようとすれば

　「...んヌナ」
　『っ !? 』

上からギュ、と大きな手を重ねられる。あざといなぁ、あざとすぎるよチャニョルくん。

　

担任とかじゃなくて保健室の先生で良かったと思う。そうでもなけりゃこんなことできない、先生失格だわ。バレたら死ぬな...

だから、心に芽生え始めた淡い気持ちに固くフタをした。