― drip ― (ページ12)

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ついてこなきゃよかった。ベロベロに酔った友達をタクシーに押し込んで、自分は乗らずにそのまま見送る。お店に背を向けて駅の方に足を進めてく。

だってまさか会うと思わないじゃん、ビョンベッキョン。
でも今日でもう堕ちてくれた気がする。あー連絡先またいつか聞かれるんだろうな、次はどうやって言い逃げしよう。

ビョンベッキョン対策を考えながら少し早歩きで改札を通ってホームに出る。こんな繁華街だとほかの“パパ達"に会っちゃうかもだから。

　

このバイト始めたのは、お金が欲しかったからと大学生活がつまらなくて刺激が欲しかったから。ただ話すだけなのにもらえる額が大きすぎるし...まあ、それなりの行為をすればどんどん積んでくれる人だって居る。

登録するパパ側の人たちはまず、サイトにある程度お金を払わなきゃいけない。その後に私たちに向けてまたお金を払う、だから基本パパはみんなお金持ち。そこらのマッチングアプリを使う安い男とは違うし盗聴器もあるから少しは安全も守られてる。

家についてスマホを弄ってたら、予約が入ったことを知らせる通知がくる。キムジュンミョン....あぁ若社長ね。もう4回目くらいかな。

...じゃあそろそろ、もうちょっと積んでもらおっかな。

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ『ジュンミョンオッパ！』

　「久しぶり、お名前ちゃん。」
　『お久しぶりです！』
　「敬語やめてってば、約束忘れたの？」
　『忘れてない！ごめんね』

約束？そんなのいちいち覚えてないよ。当たり障りないように、2回目以降の人でも初めは敬語にしてるだけ。

でもキムジュンミョンいい人。顔かっこいいし性格もいいし、いっぱいお金出してくれる。しかも、私に恋心抱いてるわけでもなさそう。要するにトラブルになりずらい。このバイトは恋愛感情持たれると超めんどう。

　『オッパ、休憩しない？』
　「さっきしたけど？」

綺麗で整った顔を少し崩して笑ってる。そのうちにポケットに忍ばせてた、安全装置もとい小型盗聴器の電源をカチリと切る。

そのまま腕を絡ませてホテルに向かう。