― drip ― (ページ1)

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1. suck or sick ページ1

自分の目を疑った。

今日は急に断れない仕事が入ったって言ってたじゃん。仕事相手はその腕組んでる可愛い女の子？

私は、付き合ってもうすぐ2年になる彼氏の浮気現場をただ眺めてた。

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ「で？問い詰めたの？」

　『...まさか。出来るわけないでしょ』
　「はぁ。」
　「てゆうか今日これ奢りですよね？」
　『...うす。』

年下の癖に生意気にもタメ口で話してくるのは会社の後輩であるセフン。重めの前髪に軽く刈り上げられた黒髪と整った顔立ちが、会社ではクールだのかっこいいだの言われてるけど懐かれて仲良くなればただの生意気

まぁ...イケメンに違いはない。

今はその浮気現場を目撃した翌日の夜。休日なのに電話で軽く事情を話して呼び出せば文句を言いながらも家から出てきてくれた。いかにも私の奢りは決定してるみたいだけど。

昨日は天気も良かったし散歩がてらコーヒー豆を買いに家を出たけど買わずに家に帰った。あんなもん見たら買い物なんてしてられない。

ひとつ予想外なことといえば
2年弱付き合ってる彼氏に浮気されても、泣いてないしあまりダメージがない。てゆうか、最早若干気付いてた

今年でもう26歳、別に恋愛未経験ってわけじゃないし女の勘も鋭くなった。気がする。

　「気付いてたのになんで言わなかったの？」
　『なんか、言えなかった。』
　「はぁ？」
　『私が一番だって思ってたから』
　

そう。チャニョルの中で私が一番だって思ってた。最近スマホを弄る回数も増えたし、残業だとか飲み会だとかで同棲する家に帰ってくる時間も遅くなった。元から女好きで拒まない性格だし、挙げ句の果てには女の子と深夜にコソコソ電話してるのを聞いたこともある。

それでもなぜか私はチャニョルの一番だと思い続けてた。
けど、実際見ると違った。確実な証拠もないけど分かる。

あぁ、チャニョルは今あの子に夢中なんだって

　『要は勘違いってワケ。』
　「痛いね。ヌナ」
　「でもさチャニョリヒョン相手によく2年弱も続いたよ。」
　『私もそう思う。あの女好きにね』
　

何杯目かもわからないグラスを傾けて中に残る氷をくるりと回す。こんなに飲んでも酔わないのは久しぶりだ。浮気を目撃して、これから先を考えたくない気持ちを現実が見逃してくれない。

　「早く別れなよ」

　『んー。でも、腹立つし仕返そうかなって』

　「..仕返す？」