【天堂浬】叶わなくてもいい。【恋つづ】 (ページ6)

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救急車を待つ間に、患者さんのものらしきカバンの中を勝手に見させてもらって身分証明書を探した。

…良かった、免許証が入ってる。相模裕二さん。59歳…

年齢的に少し若いとは思うけど、心筋梗塞のセンが大きいな…。

そうしていると救急車が到着し、緊急隊員の方が「どうしましたか!?」とこちらに来た。

その頃には野次馬が3分の1くらいにまで減っていて、素早くこちらに来れていた。

「相模裕二さん59歳。胸痛を訴えて意識を失われたようなので、すぐに処置を開始しました。AEDで除細動を行い呼吸は戻っています」

「わかりました」

それを聞いて緊急隊員の方は患者の様子を見て、「大丈夫ですよ～すぐに搬送しますね」と声をかけている。

「胸痛を訴えているとのことなので、恐らく心筋梗塞が考えられるかと」

彼女がそう言うと、「すぐに搬送します！」と言って搬送の準備を続けた。

そうして患者さんは迅速に担架に乗せられると、そのまま救急車まで運ばれた。

「医師のAです。同乗しますね」

「よろしくお願いします！」

緊急隊員の許可を得て救急車に乗り込むと、Aは「日浦総合病院まで、受け入れ可能か聞いてください。そこの医師です」と緊急隊員の方に話した。

…正確にはそこの医師になる、だけど。