【名探偵コナン】ゼロの紅一点【降谷零】

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それを聞いてAは少し目を見開く。…人を理不尽に殺めたくない、という気持ちと、国家のためだ、自分はそういう職に就いているんだ、というゼロの一員という意識が交差して、複雑になる。


だが同期の零はそんな中で頑張っているのだ。この職に就いたからには、弱音は吐いていられない。そんな自分は、平然を装って隠すのが私のやり方だ。


「ええ…その時には、期待以上の成果を出してみせましょう」


…こんな時は余裕の表情で、いつも通りの私を演じて。こうすることで本音から遠ざけられる。…悪くいえば欺く、嘘をつく、とも言うが。


どうせならいっそ、本当に国家のことだけを考えられればいいのに、と心から思う。向こうが少し楽しかっただけでこうも意識は変わるものなのか。余計な私情を挟んでいては、仕事にならないじゃないか。


そんな彼女を知ってか知らずか、理事官は声に出してはは、と笑う。


「君はいつでも自信家だ…良いことだが、それが油断につながらないようにな」


「…はい、胸に留めておきます」


油断。…それは彼女らにとってはすなわち、死を意味する。


そう思えば、いつ死ぬか分からない私達への、理事官の言葉の重みは凄い。


｢以上だ｣


｢失礼します｣


その一言を口にして、理事官室から出る。


ちょっと気分が重くなってしまった。帰国した、ということを知らない零にドッキリでも仕掛けに行くとしようか。

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