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「もう来ないんじゃないかって本気で心配したんだからね。でも間に合って良かった」
「っ……」
キルアはふと真剣な顔になって私を見つめる。
「悪かったよ。お前が一人で落ちた時は焦ったけど、合格してて良かったよ」
「キルア……」
キルアの言葉に感動でうるうるしているとキルアはいたずらっ子のような顔でニカッと笑い
「まっ、心配は1ミリもしてなかったけどな!」
と言った。
「はぁ⁉ それどういう意味よ!」
「だってお前年相応のか弱い女の子じゃねぇし……ったぁ!」
感動をぶち壊した罰に思いっきりデコピンを食らわせると、キルアは痛そうにおでこをさする。
隣でゴンが「うわ……本当に痛そう」と呟いたのでキッと睨むとはにかみ笑いで冷や汗を流していた。
「だからか弱くねぇって言ったんだよ!」
「そうだとしてもそんなこと言わなくたっていいでしょ! キルアのばか!」
「あーー悪かったね! 俺、正直なもんで思ったこと全部口に出ちゃうんだよーーっだ!」
「よく言うわ! 隠し事の塊みたいな人が!」
いつものように口喧嘩をしていると、クラピカが私たちを引き離した。
「痴話喧嘩はもうやめろ」
「「痴話喧嘩じゃない!」」
「お前らほんと仲良いよな」
一足遅れてゴールしたレオリオが疲れた顔で言う。
「まっ仲いいのは否定しないけど!」
私が言うとキルアもふっと表情を柔らかくした。
何その微笑みずるい。
この4人といる時だけは心から楽しいと思える。私なんかが楽しいと思っていいのだろうかと心配になってしまうほどだ。
でもこの試験が終わったらまた……
私はそんな憂鬱を振るい落とすように首を横に振り、この瞬間を楽しむことにした。
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残り30秒ほどになった時、Aは突然立ち上がった。
その目は先ほどまで真っ黒だったとは思えないほどに輝いていた。
いつもの輝いた瞳で扉の前に立つ少女は、さながら年相応の女の子だ。
「なるほどねぇ。イルミといながら瞳が透き通っているのはそういうわけか……」
ヒソカはひそかに呟く。
「これは想像以上に面白い果実に出会ってしまったかも」
彼は不気味に口角を上げた。
一方イルミは
「おかしいな」
と一人呟いた。
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ゆー(プロフ) - めためた面白かったです。いやでも、ホントキルア尊くて〇ねるっすわ(( (2022年9月20日 19時) (レス) @page47 id: eccc105014 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - 死神鎌少女さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございます!! 完結最近なんですよね(笑)めっちゃ時間かかりました😂 (2022年4月2日 8時) (レス) @page47 id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
死神鎌少女 - 完結おめでとうございます。とっても面白かったです!というか、完結したのつい最近すぎて嬉しかった(?) (2022年3月30日 17時) (レス) @page47 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - メロさん» 一気読みありがとうございます!!嬉しいです……。そうなんですよ、完結までめっちゃ時間かかってしまいました笑 (2022年2月17日 21時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
メロ(プロフ) - 今日初めて見ましたが、一日で全て読んでしまいました…しかも完結したのがつい最近だと知り、とてもびっくりしてます!とっても面白かったです!素敵な作品をありがとうございました!! (2022年2月16日 23時) (レス) @page47 id: 90cba439c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みくる | 作成日時:2019年3月30日 18時