切実にモテたい【爆豪勝己】 (ページ5)

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「Aちゃん随分印象変わったね」

お茶子ちゃんと話していると、出久が声をかけてきた。

「でしょでしょ？どう？」

「似合ってると思う！」

「出久は優しいなぁどこかの爆発野郎とは違って……」

あ、もしかしてこういう言葉遣いがダメなのかな？と思ったがもう遅い。出久は少し苦笑いをしてしまった。

「かっちゃんだから仕方ないよ……。じゃあ僕行くね」

「はーい」

出久が行ってしまうと、お茶子ちゃんが「Aちゃん」と私に呼び掛けた。

「次は言葉遣いを直したらいいんじゃないかな？」

「うっ……。やっぱり今のままじゃダメだよね……」

項垂れると、お茶子ちゃんは私の肩に手を置いた。

「大丈夫!! うちのクラスにはお手本がいるで!!」

「もしかして……」

「八百万さん！」

やっぱりかぁ。正直に言うと、八百万さんは決して嫌いではないけれど、遠い存在すぎてなんとなく仲良くなれない気がしていた。

「でも気にしてる場合じゃないよね！私、行ってくる！」

「頑張って！」

私はお茶子ちゃんに見送られ、八百万さんの席に来た。

「あの、八百万さん」

「まぁ、雨音さん。どうかなさいましたか？」

う、私こんなの無理だよ。眩しすぎるよ。

「あ、えっと、その……」

「遠慮なさらず何でも言ってください！」

「私の言葉遣いを正してください!!」

八百万さんの後押しもあり、思い切って言うと、八百万さんは驚いたように「まあ！」と口を開けた。

「突然どうされましたの？何か嫌なことでも言われまして？」

「うーん嫌なこと……言われたっちゃ言われたけど……まぁそれはいいとして。自分で決めたことだよ！モテたいの！」

「好きな人がいるのですか？」

意外にも八百万さんは食いついてくる。

「う、うん。いるいる」

「多数の人にモテたいだけ」。そんなことを言ったら呆れられてしまう気がして、嘘をついた。

「素敵！そういうことなら喜んでお教えしますわ！」

この嘘が、後々自分を苦しめることになるとは、思っていなかった。