【MHA】頭のネジ、はよ拾ってこいや【爆豪】 (ページ10)

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ネジ、はっぽんめ。ページ10

空になった食器を片付けに、俺は席から立ち上がった。
　ストーカー女はまだ食べ終えていないらしく、今のうちに行こうと判断した。

「あー！待ってよ、爆豪くーん！」

　俺が行こうと食器がのったおぼんを持った時、ストーカー女に腕を引っ張られ、それを落としそうになる。
　しかし、グラグラとはしたが落とすことはなく、一瞬焦った気持ちが鎮まっていく。

「ベタベタ触んな！危ねぇだろうが、死ね！」

　怒りに任せて、そう言った。
　イライラに耐えられなかった俺は、ストーカー女の手を払って、食器を片しにいった。
　ストーカー女は、何も言わなかった。

　食器を片すと、食堂から出ていった。
　歩いていると、ふいにストーカー女の顔が頭を過った。
　思い出して、イライラとする。と、同時に中学生の時のアイツを思い出す。

　アイツ、止戸Aは変わってしまった。
　俺は中学三年間同じクラスで、中一、中二の頃のストーカー女のことはやんわりとしか覚えていない。
　実際に告白をしてくるようになったのが中三からだったからだ。
……それに、性格が思いっきり変わったのもその頃だった。

＊

【Aside】

　怒って行ってしまった爆豪くんの背中を見て、私はふと思い出した。
　かなり怒ってたな、なんて思うけれど、自分のせいであることは十分承知している。
　けれど、こうしないと……、爆豪を好きでいないといけなかった。

　私が最初に告白をしたのは、中学三年生の夏休みに入る前くらい。
　最初はとても緊張して、呼び出すだけでもう胸がドキドキして、膝も震え出すくらいだった＿＿＿＿＿。

……中学三年生の、七月中旬。
場所は、放課後の教室で。

「好きです。爆豪くん！」

　俯き気味で、目の前にいる彼、爆豪勝己にそう言う。
　今の私は膝は震え、張り裂けそうなくらい胸の鼓動が速くて、緊張で死にそうになっている。
　目を合わせることすら出来ない。
　数秒待っても返事が来ず、目線だけを爆豪くんに向けた。

　しかし、返ってきたのはあまりにも酷くて冷たい返事。

「……俺は、クソモブなんざと付き合ってる暇はねぇんだよ。勉強の妨げになっから、はよ消えろや」

　爆豪くんは冷たい声でそう言い、私を払い除けて教室を出て行った。
　こう言われるということは、大体予想ついていたし、覚悟もしていた。

　それなのに言った理由は、どうしても“ 言わなければいけなかった”からだった。