【MHA】頭のネジ、はよ拾ってこいや【爆豪】 (ページ8)

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ネジ、ななほんめ。ページ8

「……少なくとも知らねぇ奴よりはマシ」

　いつもだったら言わないようなことを、むず痒い気持ちで言った。アイツのためにというわけではないが、俺の知らないところで泣かれるのも嫌だったからだ。

「え？」

　ストーカー女が目を丸くして俺を見る。
　ふと合った目は一秒も続かずに、俺が逸らしてしまった。
　悪気はなかったが、悪いことをしてしまったような気がして、もう一度ストーカー女の方に目を向ける。

「……だぁから、知らねぇ奴よりは！マシっつったんだよ」

　素直でない俺は、ある所だけを強調して言った。
　ストーカー女の方を見ると、しけた面からいつものあのニヤニヤ顔に戻って、俺に「ありがとう」と言った。返事は「ん」とだけ答える。

　少しだけ、小さな間が訪れる。が、それをすぎに破られた。……アイツの余計な言葉によって。

「いやー、まさか爆豪くんが私のことを好きなんてねー」

「は？」

　いつものように戻ったストーカー女が、急に変なことを言い始める。
　アイツはいつも自分にとって良い方向になるような、言葉の受け取り方をする。
　つまり、自意識過剰というやつだ。
　アイツの調子が戻った今では、完全にいつものウザいアイツになる。

「どうテメェのクソ脳内を動かしたら、そんな言葉の受け取り方になんだよ！ああ”？」

「ヤダヤダ、相手は女子だよ？爆豪くん」

　一回自分の頭の可笑しさを教えてやろうかと、ストーカー女の胸ぐらを掴んで睨む。
　しかし、アイツには無効化で挙句の果てには「そんなにがっつかないでよ、もー」だなんて、ぬかしてやがる。
　驚いた近くにいたモブ共は、「なんだ、痴話喧嘩か」と言って、元の場所に戻っていく。
　面倒くさくなった俺は、すんなりと胸ぐらから手を離した。

「チッ」

　脳内お花畑の、コイツの相手をしていたら自分まで可笑しくなってくる。
　隣で何か言っている声が聞こえるが、俺は無視して残りのうどんを食べ終えた。
　最後に水を飲みたかったが、さっきのことを思い出すため、飲まなかった。