【MHA】頭のネジ、はよ拾ってこいや【爆豪】 (ページ11)

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ネジ、きゅうほんめ。ページ11

爆豪くんが教室を出て行った後、私は動けずにいた。
　悔しいような、悲しいような気持ちだった。
　私はもともと明るい性格ではなく、カーストで例えると底辺の方だった。
……それは、中三の初めあたりまではの話だ。

　私は“ あの日”から自分を変えようと決意した。
　それと同時に、“嫌いだった ”爆豪くんを好きになろうと努力した。
　自分の汚いところをまぎらわすために。

　そして、今初めての告白が終わったところ。
　私は振られてしまった。けれど、後悔はしてない。というより、しない。
　それは、私が諦めたわけではないからだ。
　何度振られようが、何度暴言を吐かれようが、絶対にめげない。爆豪に自分のことを好きになってもらう。
　そう、決意した。

　それからは、もう一直線だった。
　告白のことは忘れて、笑顔で朝一番に駆け寄った。
　会っては、「爆豪くん、今日もカッコイイね！」なんて言って近寄る。
　何度キレられようが、迷惑そうにされようが、「爆豪くん、好きだよ」と言った。振り向かせるために。
　それは、流れ作業のようなものだったけれど、だんだんと慣れてきて言う言葉は「好き」を意味する言葉だらけになった。

　好き、と言葉にするだけで本当に好きだと思うことが出来たから……。

　こんなの可笑しいって分かってる。けど、仕方ないんだ。
　こうしてないと、自分が嫌になってしまうから。
　“あの日”を、いなくなった“あの人”を忘れないようにするために。

……それは、一つの償いのようなものだった。

「爆豪くん、好きー！」

「ねぇねぇ、爆豪くん！」

「うっせぇわ！俺の周りをうろちょろすんな、死ね！」

　受験勉強で爆豪くんがカリカリしていても、しつこく話しかけた。
　もう、爆豪くんが可哀想だからやめようかな、なんて思う日もあった。
　それでも、やめなかったのは自分で決めたことだったから。

　だから、今も私は過去に囚われながら、爆豪くんに「好きだよ」と伝えている。

　本当に好きなのか分からないのに今も続けている私は、とても最低な女だ＿＿＿＿。