双子になって百七日目。 ページ19
「侑と角名戻りましたー。」
結局俺はコートの手前まで連れてかれた。
うわっテレビカメラあるし...
「なんや遅かったな。もうアップ始まんで」
1番君がコートから出てくる。
俺が言うのもなんだがこの人も凄い髪色してんな...。
1番君は俺の方を見て首を傾げた
そりゃそうですよねー！
「どないしたん？その人。」
「...倫太郎の幼なじみです。連れてこられただけなんで邪魔だったらもう客席行きます」
「角名、迷惑かけたらあかんで。」
1番君がそう倫太郎を窘めるが倫太郎はふいと明後日の方向を向く
てかほんとにもうそろそろアップが始まりそうだ。
ここはもう客席に行った方がいいのでは...
そう考えていた俺の目の前にありえない姿があった。
「信介ー、タオル人数分ねぇんだけど知らねぇ？」
気だるげな目、離れた眉、
そして、俺と同じ色の髪と目。
その紅い目が、俺を漸く捉えた。
疑問を解消するかのように俺の顔をジッと見る。
うそだ
息が上手く吸えなくなる。
心臓が口から飛び出そうだ。
だってそんなはずは無い。もうあいつは.....
「...もしかして、怜羅か？」
心臓が跳ねた。
ありえない
まだ1番君にも自己紹介はしていない。
今ここで名前を知っているのは侑くんと倫太郎だけなはずだ。
ということは...
いや、でも、あいつはあの時....俺が....
「怜羅だな？俺の事わかる？」
静かにそいつは近寄ってくる。
俺は怖くなって後退りした
だってあの時...
さっきから目を逸らせない
まるで呪いのように俺の目線を縛り付けて離さない
その手が俺に触れ、背中に回った。
「やっと見つけた...！」
苦しいくらいにぎゅっと縛り付けてくる。
甘いような苦いような不思議なその香りは俺が昔からずっと大好きな匂い。そいつは記憶の中より小さく思えた。
「...銀...時？」
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作者名：しばいーぬ | 作成日時：2021年11月26日 19時
