双子になって百日目。 ページ12
「だいぶ混んでんな...」
次の日俺たちは朝早くから春高の会場へ来ていた。
「早めに来といて良かったな。これ始まる直前に来たらいい席とれないだろ...」
「この時間でもいい席取れるかどうか...」
そう思うほど春高の会場は混んでいた。
「やっぱ白鳥沢見んの？」
「まぁ、チケット貰ったからには見ないと失礼でしょ...」
そう思いトーナメント表を見ると白鳥沢はBコートで早流川工という所と試合だった。
「んじゃあ、Bコート行こうぜ。」
花巻の声に従って俺たちはBコートに向けて歩き始めた。
「おー、めちゃ混んでるじゃん。」
「やっぱ東北のウシワカの力はすごいねー。」
「その異名ムカつくから言わないで！」
俺たちは早流川工のほうの席に着いた。
白鳥沢の方のコートに比べると大分空いていたし何より白鳥沢の応援なんてするわけが無い。
全員その気持ちは同じだったようで、白鳥沢の方に座らなかったことに不満はなにも出てこなかった。
「試合開始までまだちょっとあるな...俺飲み物買って来るよ」
「じゃあ、俺もいこー。みんなお茶でいいよな？」
「うん。大丈夫。ありがとー。」
まだ試合開始まで20分ほどあるのを見た松川と花巻が席を立ちお茶を買ってきてくれるみたいだった。
松川達の席を確保しつつコートを見る。
今は白鳥沢のアップの時間のようで牛島がスパイクを打つ度湧き上がる歓声に俺たちは少し、すこーしイライラしていた。
特に岩泉なんかどのタイミングが買ったのかは分からないが、出店にあったであろう唐揚げに夢中だ。
早流川工の選手をボーッと見ながらしばらく待つとお茶を買いに行っていた松川達が帰ってきた。
「はい、お茶。」
松川からやーいお茶を受け取ると花巻が不思議そうに見つめてきた。
「？花巻どうかした？」
「いや、俺さっきトイレ行ってきたんだけどさ？
お前トイレにいなかった？」
「え、いや、ずっとここにいたけど...」
俺がそう言うと花巻がもっと首を傾げる
「あんな綺麗な白髪絶対怜羅だと思ったんだけど...」
「人違いだったんじゃないの？ほら、ここ東京だし白髪くらいいるでしょ」
「東京をなんだと思ってんだ。...まぁ、そう言われてみると身長俺より低かった気もするし....」
「まぁ、他人の空似だろ、そろそろ始まんぞ、」
岩泉のその声に花巻は席につき俺たちは試合を観戦し始めた。
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作者名：しばいーぬ | 作成日時：2021年11月26日 19時
