2の12 ページ14
久々知『Aさんはこれね』
そういって渡してくれた豆腐料理は、豆腐のトロミ煮だった。豆腐とトロミがかかった餡に溶き卵が入れてある。玉子とじみたいでとても美味しそうだ。でも…
｢私は、ってことは、2人はちがうんですか？」
久々知『Aさんは病み上がりだからね。僕達のは少し肉が入ってるんだ』
男の子ですから、と兵助さんは言う。
少しお肉が羨ましかったが、自分の目の前にある物の食欲をそそる匂いに羨ましさはかき消された。それに、兵助さん達のには卵は入っていない。
(なんという贅沢なお夜食…！)
3人で同時に手を合わせ、『いただきます』の言葉を言う。
そして兵助さんが用意してくれた豆腐のとろみ煮をレンゲですくい、冷ましながら食べる。
｢お、美味しいっ…！｣
生まれてこんなに美味しい豆腐料理を食べたのは初めてだ。
いつものと何が違うのだろう。豆腐がとても濃厚なのだろうか。
久々知『喜んでくれて嬉しいよ』
久々知さんはニコニコしている。立花さんも『さすが兵助だな。』と言いながら食べ進めている。
((久々知side))
夢でも見てるのかもしれない。
夢なら覚めないで欲しい。Aさんが！僕の豆腐料理を食べてるなんて！
｢夢みたいだ…｣
つい声に出てしまった。Aさんは料理に夢中で気づいてはなかったが、立花先輩には気づかれていた。
立花『ほう、私に食べて貰えてそんなに嬉しいのか』
分かっている癖にからかってくる立花先輩。
｢はい、色んな人に僕の豆腐料理食べてもらえるのが嬉しくて｣
これだから上級生は。すぐ下級生をからかう。
そう思っていると、先輩の視線がAさんに向く。
立花『A、口についてる。まったく。』
そういってちり紙でAさんの口元を拭く先輩。
A『ありがとうございます、立花さん』
立花『前からおもってたんだが、その立花さんって呼び方、他人行儀じゃないか？』
A『え？そうですか？ではなんとお呼びすれば…』
立花『立花先輩とか、仙蔵さんとか色々あるだろう』
僕は何を見せられているのだろう。
立花先輩がチラリとこちらを見てフッと笑みを浮かべる。
(絶対わざとだこの人…！！！)
僕が妬くのを分かっていてこんなことをするのだ。
でも、相手が先輩であっても負ける気はない。
余裕のない心を抑えつつ、僕は自分の作った料理を食べ進めた。
((久々知side、おわり))
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 315人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらすは釜揚げしか勝たん(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございますー！今回はただの番号振り間違いでしたので間に物語が入ることはなかったです(´∀｀;)ﾎｯ！気づいて下さりありがとうございました！さくらさんも体調にお気を付けて！もうすぐ終わるその2も、これから始まるその3も是非見て下さいー！ (2021年7月20日 9時) (
レス) id: 1903d8bb4f (このIDを非表示/違反報告)
しらすは釜揚げしか勝たん(プロフ) - 雛鳥さん» コメントありがとうございます！面白いって言ってもらえて嬉しくて涙が…！雛鳥さんも体調にお気を付けて！お気遣いありがとうございます！ (2021年7月20日 9時) (レス) id: 1903d8bb4f (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 暑いですね〜…毎日、楽しみに読んでいます!もうすぐ、その３ですね!頑張って下さい!!あの、《４２》がありません。体調には気を付けてね!(´Д⊂ヽ (2021年7月20日 7時) (レス) id: 4385f0a431 (このIDを非表示/違反報告)
雛鳥 - 1番最初から読んでハマりました！とっても面白いです！これからもキャラといっぱい絡みつつ作者さんも最近暑くなってきたので体調に気をつけてください！ (2021年7月20日 7時) (レス) id: 4ab8794890 (このIDを非表示/違反報告)
しらすは釜揚げしか勝たん(プロフ) - チロルさん» コメントありがとうございます！すんごく嬉しいですー！ありがとうございます！これからも見てってください！(b･ω･)b (2021年7月19日 23時) (レス) id: 1903d8bb4f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しらすは釜揚げしか勝たん | 作成日時：2021年7月12日 22時
