救済措置を継続せよ【名探偵コナン】

３人目の救済 ページ16

フィリスの背に手を置く。
こちらのビルはあっちよりも低い。様子を伺う事は出来ない。
2人の会話に、慎重に耳を傾ける。

「命乞……話を…」
「拳銃………ない……こうする為だ！」

タイミングだ…タイミングを、
しゃがみ込んでいる私の足元でフィリスの瞳が光るのが目に入る。

「……FBI…赤…秀……」

もう少し、後少し、
フィリスの耳がピクリと動く。
バーボンが来たか…

「お前……逃………ない…」

フィリスがマントの中から飛び出す。
柵を飛び越えビルからビルに飛び移る。


ーーフィリスの姿が視界から消えた。

「なっ！」
「うぉ！なんだっ」

2人の驚く声が聞こえてくる。
それと同時に何かが地面に落ちる音が聞こえる。

最高のタイミングじゃないか？

「何だ…？狐？」
「っバーボン？」
「これは、一体…どういう状況だ…」

バーボンも到着したようで3人の困惑した会話が聞こえる。
作戦は成功のようだな……フゥ。

後はフィリスがこちらに来たらすぐに元の時間に戻るだけ。

「こいつ……助け……何」
「危……こっちに……」
「キュイッ」

………フィリス？

「わっ……ちょ……っ！」
「バーボ……懐……知…？」
「ほー……」

……………。

「これ……どうす……」
「とりあえず……移……」
「話……後で…」
「キュ？」
「……可愛…」



戻って、来ねぇ…。

え、フィリス？なんか向こう楽しそうだな？あれ、さっきまでの雰囲気は？

用事が済めばすぐ戻るように言った筈なのに…
途切れ途切れに聞こえる会話によると現在フィリスはバーボンの腕の中のようだ。

……え、何で？何でバーボンに懐いてんの？面識ない筈だろ？合わせた事無いよな？(勝手に会ってる)

「とりあえず…スコ……僕が…預」
「……分かっ…」
「…その……動物…？」






ーーーまずいまずいまずいっ！！
このままじゃフィリスが連れて行かれる！
だめだ、そんなのだめだ！だめに決まってる！




予測してなかった事態に動揺が隠しきれない。
マントから顔を出し思わず大声で叫ぶように声を上げる。

『フィリス！！おいでっ！！』

「「「！？」」」
「キュイッ！」

私の声に反応したフィリスが猛スピードで柵を飛び越えこちらに戻って来る。フィリスをキャッチすると急いでマントの中に隠し息を潜める。

それとほぼ同時に3人がビルの柵の向こうから現れた。

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