少女の正体 ページ12
『…痛ったい。』
「自業自得だろ」
あの後顔を真っ赤にしたコナン少年に脛を思いっきり蹴られ席に座らされた私は時間が経ちぬるくなったミルクティーを飲みながら蹴られた脛をさする。そんな私を横目に、コナン少年はムスッとしたままアイスコーヒーを啜っている。
「あはは、なんだか面白い方ですね。Aさんは」
一部始終を見ていた安室さんは、可笑しそうに笑いながら私達を見てくる。
可愛らしい笑顔を見せているが、コナン少年に脛を蹴られしばらく悶えていた私をドン引いた目で見ていたのを確認済みだからね。
『面白い…？初めて言われたよそんな事』
「普段何て言われるの？」
『天才、神童、美人』
「ウソつき」
『君、結構根に持つタイプだよね。』
「初対面にしては、随分仲良いですね….。」
『安室さんもすぐに仲良しになれるよ。心配しないで』
「Aさん誰目線で言ってんの」
『Aちゃんと呼べっつてんじゃん！』
「キレるタイミングおかしいよAさん」
「本当に初対面なんですか…？」
そんな感じでじゃれ合うように2人と言葉を交わす。
…ずっと研究所で研究漬けの毎日だった為関わる人間も限られていた。言葉を交わす人間といえば大体真面目な教授や気難しいお偉いさん方。(ハゲ率高め)
内容もほとんど発明品の依頼などについての話。こんな風に茶化したような会話をしたのは酷く久しぶりな気がする。
しばらく会話を重ねた後、今日の目的も果たせたので、そろそろ帰ろうと安室さんに勘定をお願いする。
「…Aさんって変な人だね。」
勘定を済ませ外に出ようと扉に手をかけた時コナン少年に声をかけられた。
安室さんはコナン少年から唐突に発せられた言葉に不思議そうな顔をしてこちらを見つめている。
『…変な人…』
「Aさんが何者かって話。」
『あぁ…』
よく怪物だの火星人だのという風に言われた事もあった。しかしそれは、嫉妬からでも僻みからでもなく人の人智を超えた頭脳を持つ私に対する恐怖と羨望から発せられた言葉だった。
変な人。普通ではない人、恐怖からでも羨望から発せられた言葉でもない。彼が見破った私の正体。初対面ゆえの第一印象。呆れと少しの疑心から出た言葉。
なのになぜか口元が緩む。
『…それも初めて言われたよ。』
あぁ、やはりこの世界は面白い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 430人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミコト(プロフ) - 1412さん» ……確かにっ(衝撃)ご指摘有難うございます！修正しておきます！！ (2020年1月9日 22時) (
レス) id: 9d332e4a56 (このIDを非表示/違反報告)
1412 - 思ったんですが、夢主さんが自販機でジュースを買っている話があったんですけど自販機に万札は入りませんよ？お話事態はとても面白かったです！！ (2020年1月9日 21時) (レス) id: 927162caee (このIDを非表示/違反報告)
ミコト(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！ (2019年1月17日 1時) (レス) id: 442cac4e68 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - 凄く面白いです！ 続き楽しみにしてます！ (2019年1月17日 1時) (レス) id: a63d8a48ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミコト | 作成日時：2018年12月20日 23時
