救済措置を実行せよ【名探偵コナン】

似た者同士？ コナンside ページ31

きっとこの人は全て気づいている気がする。
俺の本当の姿も灰原の本当の姿も、
そしてどうして俺達がこんな姿になっているのかも…
全てを知った上で、俺達の口から真実を聞きたいのだろう。

バックミラー越しに見える黄色い瞳は何もかもを見透かしているように妖しく煌めいている。

何故そんな事をするのだろう、何故知りたがるのだろう。ただ本当に知りたいだけ…？
本当にそれだけなのだろうか。

この人の真意を知る事が出来る人などいるのだろうか。

Aさんは不思議な人だ。

初めて会った時から、不思議で、掴み所がなくて、怪しくて、それなのにどうしても敵には思えなくて。



俺はゆっくりと口を開いた。


「……俺は、工藤新一高校生探偵ですよ」

Aさんの瞳がキラリと光る。
灰原は俺が自分の正体を明かした事に驚きの顔を向ける。
そして小さくため息を吐いた。

「…宮野、志保よ」


『…初めまして、工藤新一君、宮野志保さん』
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自分の本当の名前を伝えた後、Aさんはそれ以上聞いてくる事はしなかった。
再び無言の時間が続く、
そんな沈黙を破るように俺はAさんに声をかける

「なぁ、Aさん」
『？何かな』
「Aさんは、敵？」
『…君がそう決めたなら私は敵だねぇ』
「…じゃあ、Aさんは、味方？」
『君がそう思ってくれるなら、私は君の味方だよ』
「そう…なら」

Aさんは頭がいい、恐らく普通の人の何十倍も、
Aさんの力を借りれば、あの組織の壊滅にかなり近づけるかも知れない。

俺達の正体を知ったんだ。

ならもう何の遠慮もする必要はないよな？

俺はニヤリと笑みを浮かべる。

灰原がやれやれと言うように俺を見る。

Aさんが、不思議そうに俺を見つめる。

「俺達の味方になってよ、Aさん。俺達の秘密、全部教えてやるから」


このチャンス逃す手はないだろう？

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