【呪術廻戦】 未知の呪物を取り込んでしまった…3

▽ ページ10

「アルコール度数30もあるフラゴリッシモと比べても意味がないでしょう。あなたが雪音さんに、未成年にお酒を飲ませたというのは事実ですから」


「犯罪者だぞ、犯罪者！！見た目からしてぽいけど」



四方八方から責められる形となった五条の腕に、身を寄せるA。

思わずそちらを向いた五条が、ゴクリ、と息をのんだのが傍から見ても分かった。



「こーんなおいしいもの独り占めして、私に隠してこっそり飲んでたんでしょ。ずるい、ずーるーい！！五条先生のいじわるー！！」


アルコールが回って、呂律が回っていないように思える。


子供のように頬を膨らませ、軽く怒ったように上目遣いをするAの破壊力に、目をそらせない五条。

「やっば……」


普段は雪のように白い肌が林檎のように紅く色付き、とろんと蕩け切った碧い瞳はまるで魅了の呪いでもかかっているかの如く、見る者の意識をとらえて離さない。



「――ごめん、誰か僕を思いっきり殴って。このままだと僕、未成年に酒を飲ませる以上の罪を犯しちゃいそうだから、マジで」


「分かりました」


七海が即答して思いっきり五条の頬を張り、その隙に狗巻がAを回収する。


「つーか、自分酒飲めねえくせに、なんでAに飲ませようとすんだよ」


吐き捨てるように真希がそう言えば、うんうんと同意する釘崎。



事態は解決したかのように思われたが、そううまくいくはずもなく――、

「狗巻先輩…」

「ツナマヨ…」

普段から何かと密着度が高く、仲の良い二人である。今のこの状況で、親密度が大幅にアップするのは想像するに容易いことであった。


狗巻の首に腕を回し、甘えるように抱きつくAを、抵抗せずに受け入れるどころか自身も彼女の腰に腕を回し、お互いに抱きしめあう2人。


酒を飲んでこうなっているAは置いといて、狗巻の方は完全にこの状況を利用している。

額同士をくっつけて、今にもキスしそうな様子の二人を、慌てて止める釘崎と真希。


釘崎は肘鉄を、真希は拳骨を思いっきりくらわし、打っ倒れた狗巻からAの奪還に成功する。


最終的に、Aは真希の膝ですやすやと眠りこけ、ようやくその場に平穏が訪れた。


「取り敢えず、この騒動の原因である悟は死刑な」

「同感」

その後、向こうの部屋から五条の叫び声が聞こえてきたのを、聞かなかったことにする残りのメンバーたちなのであった。

#41 ある日の策略→←＃40　五条の悪戯

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す