#42 予期せぬ再会 ページ18
「ふんふん、ふっふふーん、ら〜りら〜りら〜」
今日のAは非常にご機嫌モードなのである。それはもう、思わず訳の分からない鼻歌が飛び出してしまうほどに。
なぜこんなにもルンルンモードなのか。それは、彼女が手にしている1枚のチケットに原因がある。
〖世界の美しい薔薇、大集合!!〗
所謂、植物園の入場チケットである。テレビのCMで咲き誇る薔薇の映像を見てから、もう行きたくて行きたくてたまらなくて、何とか入手したものだから、喜びだって倍増だ。
前日が過酷な任務だったということも相まって、解放感は計り知れない。
そして今日も今日とて、Aの美貌は健在である。
一転の霞もない美しいプラチナブロンドは、陽光を跳ね返して燦然と煌めき、淡く透き通る蒼碧の瞳はまるで宝石のよう。
天使の唇が織り成す蠱惑的な音色に、道端に咲く花すら、彼女を祝福するように優しく揺れている。
女神の寵愛を授かったのかと錯覚するほど、そんな至高の絵画のように人智を超えた美貌の持ち主である彼女の愉快な進行は――――、
「だーれだ?」
――――突如として、視界を遮るように目を覆った掌に、妨害されることとなった。
知っている気配。掌は人間のそれだが明らかに呪霊の気配。こんなにも自分に親し気に話しかけてくるのは、Aの経験上では、それはもう1人しかいない。
「…真人でしょ」
掌をそっとつかんで顔からどかし、後ろに向き直れば予想通り、水色の長髪に左右色違いの瞳。
背後から呪霊が迫ってきていたのは知っていたが、害意は感じられなかったため、何もしなかったのだけれど。
「あたり。…何で分かったかな〜」
不思議そうにそう首をかしげているけれど、本気でバレないと思っていたのだろうか?
…ちょっと分かりやすすぎたと思うのだが。
「…それで、どうしたの?こうやって2人でいるところ、高専の人とかに見られたらどうするの。あっという間に、ぎったんぎったんにされちゃうよ」
「――俺のこと、心配してくれてるんだ?」
「当たり前」
「…。」
すぐさま即答すれば、何故か目を見開いて黙り込んでしまう真人。
何かおかしなことを言ったかしら?と、自分の発言を顧みるが思い当たる節はない。
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sou(プロフ) - わぁー!!!もうめっちゃ素敵な作品!!!見ていてにまにましてしまいます!!夢主ちゃんもすごく素敵な子で見てみて夢があって楽しいです!!一つだけ!!37ページの綺麗が奇麗になってます! (2022年2月18日 11時) (レス) @page37 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - sさん» あっ、そうなんですか!?では、ギリ禁断ではないってことですね!新知識です、教えてくださり、ありがとうございます!!はい、頑張りますありがとうございます!! (2021年3月28日 17時) (レス) id: 02cc0a4dd4 (このIDを非表示/違反報告)
s - コメント失礼します。とても面白いです!彼氏疑惑はこっちまでなんかヒヤヒヤしましたwでも従兄弟同士って法律上は結婚できたような… これからも更新頑張ってください! (2021年3月28日 16時) (レス) id: 82fa48879c (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - 43yomi1さん» し、幸せです滅茶苦茶光栄ですっ!!はいっ、頑張ります!これからもよろしくお願いします!! (2021年3月4日 22時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - いきなりすみません…滅茶苦茶面白くて、更新楽しみにしてます!!更新頑張って下さい!応援してます!!!!!! (2021年3月4日 20時) (レス) id: 674eb44c7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきのふ | 作成日時:2021年1月28日 23時