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『そのレンズの数は何と、2〜3万個。3万というと、私の年収に匹敵するぐらいだからすごいよね、トンボって』
『いや…トンボのことよりあなたのねんしゅうやばいわよ、3万!?このかいしょうなし!!』
『なんかあんまり働く気がしないんだよ』
ポリポリと頬を搔きながらそう言うおじさんと、突っ込む瑠璃。
いまいち会話の内容が分からないAは、ただボケーっとするばかり。
『このろくでなし!!はたらきなさいよ、ふだんはなにしてるの?』
『普段は暇だから、ホクロを数えたりしてるよ』
『ホクロを!?』
――今、改めて思い返せば、おじさんはかなりやばい人間だったんだなあと、しみじみと感慨にふける。
あのおじさんは果たしてどうなってしまったのだろう。あれ以来会っていないのでよく分からないが。
…取り敢えず、瑠璃は幼い頃から利発な少女だった。それは確かなことだった。
「あ〜〜〜ヒマ〜〜〜」
一方、虎杖は虎杖で、暇な時間を持て余していた。図書館に2人、と聞いたのでもっとキャッキャウフフな感じかと思いきや、意外と個人の時間を大事にしているみたいだったので、ホッとしたような、拍子抜けしたような。
図書館の、静かにじっくり本を読む雰囲気は余り自分には合わないと、今日はっきりと自覚した。
「…雪音んとこいこっかなあ…」
本をじっくり読むのは性に合わないが、Aの読書しているときの横顔を見つめるのはいいかもしれない。
切なげに伏せられた長い睫毛。整った鼻筋。はらりとかかる、綺麗なプラチナブロンド。
見ていて飽きるということがなく、横顔だけで数時間は眺めていられる。
館内を歩き回っていると、ふと、Aの声が聞こえたような気がした。
「おーい、雪n……」
声が聞こえてきた方向をたどって、角を曲がったところで、あんぐりと口を開ける虎杖。
――――一つの本を、顔を寄せ合って二人で読む、狗巻とAの楽しそうな顔が目に映った。
まったく、油断も隙もならない先輩だ。さっきまでバラバラに別行動しているようだったのに、いつの間にか合流していたなんて。
「………雪音!」
「あっ、虎杖君。今ね、読みたかった本を見つけたんだけど、1冊しかなかったから、一緒に読んでるの」
邪気のない笑顔に、思わず顔が緩みそうになる虎杖。
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sou(プロフ) - わぁー!!!もうめっちゃ素敵な作品!!!見ていてにまにましてしまいます!!夢主ちゃんもすごく素敵な子で見てみて夢があって楽しいです!!一つだけ!!37ページの綺麗が奇麗になってます! (2022年2月18日 11時) (レス) @page37 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - sさん» あっ、そうなんですか!?では、ギリ禁断ではないってことですね!新知識です、教えてくださり、ありがとうございます!!はい、頑張りますありがとうございます!! (2021年3月28日 17時) (レス) id: 02cc0a4dd4 (このIDを非表示/違反報告)
s - コメント失礼します。とても面白いです!彼氏疑惑はこっちまでなんかヒヤヒヤしましたwでも従兄弟同士って法律上は結婚できたような… これからも更新頑張ってください! (2021年3月28日 16時) (レス) id: 82fa48879c (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - 43yomi1さん» し、幸せです滅茶苦茶光栄ですっ!!はいっ、頑張ります!これからもよろしくお願いします!! (2021年3月4日 22時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - いきなりすみません…滅茶苦茶面白くて、更新楽しみにしてます!!更新頑張って下さい!応援してます!!!!!! (2021年3月4日 20時) (レス) id: 674eb44c7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきのふ | 作成日時:2021年1月28日 23時