▽続き ページ9
恐らく彼女の総呪力量は、想像もできないほど凄まじい量であるはずだ。
だというのに、その膨大な呪力量を感じさせない佇まい。意識してそのようにコントロールしているのだとしたら、それこそ天才的な才能である。
(全く、この年で末恐ろしい女の子だな)
真人の予想は、半分正解で半分間違いである。呪力のコントロールの半分を担っているのは瑠璃だ。しかし、それを見抜くことは真人にはできない。
魂を認識するのは真人の一種の権能的なものだが、体内に瑠璃を宿していることを見抜くこととはまた別物である。
Aの異能である“魔眼”は、他者の自身に対する視覚的な干渉を一切受け付けないという効果がある。
呪力のコントロール能力とはまた別に、“そもそも視覚による呪力量判断を妨害する”という魔眼の効果も相まって、真人にその膨大な呪力を感じさせていない。
五条の六眼による干渉が、Aに効かないのも当たり前なわけで。
言わば、“最強の眼”なわけなのだ。
そんなことは露知らず真人は、その宝石のような瞳に星空をめいいっぱい映し、うっとりとほほ笑むAを横目でちらりと眺める。
彼にとっては目の前に広がる星空よりも、隣にいるAの方がずっと幻想的に思えた。
その白く透き通る肌は、触れれば溶けてしまう淡雪のように思われて、思わずその手で彼女の頬にそっと触れてみたくなる。
気付けば真人の指はAの頬をするすると撫でており、彼女が不思議そうにこちらを見つめていた。その、白磁のようにすべらかな肌触りが心地良くて、癖になってしまいそうだ。
「何？」
「いや、別に？こうしたくなっただけ」
「…？変なの」
Aはさほど気にしている様子はない。また元通り、顔を上げて星空を眺め始める。
――不意に、彼女の、淡い燐光を散らすその髪に触れてみたいという欲求が、真人の脳を満たす。
「…ねえ」
「なあに？」
「…髪の毛、触ってみてもいい？」
真人のその問いに、Aは訳が分からないという顔をした。
「別に…いいけど…。触っても何もいいものは出てこないわよ。お金も入ってないし」
「髪からお金が出てくるってどんな状況だよ」
真人は苦笑するが、心の内は彼女に承諾してもらえたことへの喜びに、はやっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきのふ(プロフ) - めちゃくちゃ分かります、私もしれっと挟まりたいです… (2021年3月6日 14時) (
レス) id: 02cc0a4dd4 (このIDを非表示/違反報告)
斎 - 棘先輩と全力抱きしめ(助走付き)羨ましい…！棘先輩も夢主も羨ましい…！！間に挟まれたい…← (2021年3月6日 13時) (レス) id: df01ca2639 (このIDを非表示/違反報告)
安仙任(プロフ) - ありがとうございます!応援しています！ (2021年1月6日 12時) (レス) id: 80f06437e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - 安仙任さん» 少し先になってしまうかもしれませんが、やってみますね！！ (2021年1月5日 22時) (レス) id: 2041975419 (このIDを非表示/違反報告)
安仙任(プロフ) - ストーリーでお願いします（。。） (2021年1月5日 22時) (レス) id: 80f06437e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきのふ | 作成日時：2021年1月4日 13時
