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「へぇ、なかなか物知りなガキもいるのね。…まあ、関係ないけど」
しかし、そんな表情も一瞬で、残酷な流し目へと戻ってしまう。
依然、呪霊たちはその警戒態勢を緩めることはない。
近づけば、死ぬ。それを本能で察知し、あえて近付かないだけである。
実際の強さでいうと、漏瑚の強さは今の瑠璃以上のはずだ。だというのに、なぜこうも圧倒されるのか。…答えは簡単、魂としての格が違う。それだけのことだ。
「おぬしはいったい誰じゃ!名前は…」
「雑魚は黙っててくれる?邪魔以外の何物でもないから」
先程Aがされたことの意趣返しのつもりか、瑠璃は漏瑚の言葉を途中で遮り、邪悪な微笑を浮かべて見せた。
――その微笑がまた、ゾクリとするほどに美しく、妖艶なのである。
清純無垢を体現したかのようなAとは真反対の美しさ。
しかしそれは煽り以外の何物でもなく、もともと短気な漏瑚を激怒させるには十分な出来事だった。
「貴様、許さん――」
「ああ、それと、」
またもや遮り、瑠璃は人差し指を空中でくるり、と円を描くように回す。
「んなっ…!?」
「私、暑いのは嫌いなのよ」
漏瑚の頭のてっぺんのマグマ噴出口(?)が、メキメキメキ、と凍りつく。
未だ現実に理解が追い付いていない漏瑚は、あんぐりと口を開けたままだ。
「しばらくしたら、その氷は溶けるようにしてあるわよ」
…もはや抵抗する気を失った夏油一行は、ただ、瑠璃の言葉を待つのみ。
「あんまり人がいるところで厄介事は起こしたくないし、これ以上この子に手を出さないと約束するのならば、見逃してあげないこともないわよ」
もう既に、周りの人間の目線を一身に集めてしまっている状況で、今更厄介事も何もないとは思うが、ここは素直に頷いておくべき、と夏油は考える。
「最後に1つ、いいですか?」
「…何?」
夏油の言葉に、面倒くさそうに顔を向ける瑠璃。
「あなたにとって、その少女はいったい何なのですか?」
純粋な疑問だった。終焉の呪とも呼ばれるほどの彼女は、どうしてそこまでその少女をかばおうとする。
問いに対し、瑠璃はにんまりと唇を釣り上げて言葉を返す。
「そんなの、決まってるじゃない。…全てよ」
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ゆきのふ(プロフ) - めちゃくちゃ分かります、私もしれっと挟まりたいです… (2021年3月6日 14時) (レス) id: 02cc0a4dd4 (このIDを非表示/違反報告)
斎 - 棘先輩と全力抱きしめ(助走付き)羨ましい…!棘先輩も夢主も羨ましい…!!間に挟まれたい…← (2021年3月6日 13時) (レス) id: df01ca2639 (このIDを非表示/違反報告)
安仙任(プロフ) - ありがとうございます!応援しています! (2021年1月6日 12時) (レス) id: 80f06437e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのふ(プロフ) - 安仙任さん» 少し先になってしまうかもしれませんが、やってみますね!! (2021年1月5日 22時) (レス) id: 2041975419 (このIDを非表示/違反報告)
安仙任(プロフ) - ストーリーでお願いします(。。) (2021年1月5日 22時) (レス) id: 80f06437e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきのふ | 作成日時:2021年1月4日 13時