【呪術廻戦】 未知の呪物を取り込んでしまった…2

▼続き ページ24

瞳を覆う涙の膜が雫となって零れ落ちないように、目をカッと見開き、唇を噛み締め、フーッ、フーッと猫のように荒い息をつくAの姿を見て、若干怒り気味だった虎杖が、急に申し訳なさそうな顔になる。

そうやって必死に耐えていた努力も虚しく、瞬きをした拍子に、大粒の涙がボロリと零れ落ちた。

それでもなお、顔を一層険しくして泣きそうになるのを何とかこらえる。


…いったいどんな気持ちで、Aが虎杖の死を受け入れたのか、彼自身はそれを知らない。

断腸の思いだった。受け入れようとして、受け入れられる出来事なんかでは決してなかった。

それを自分の中でようやく受け止められるようになって、だというのにどうして今更。どうして今更、まるで何事もなかったかのように、いつもの笑顔で姿を現すことができるのか。

彼が生きていたことに対する衝撃と、なぜ黙っていたかということに対しての怒りが混ぜ合わさり、爆発して先程の行動に至るわけだ。(クマが悠仁を殴る)


(今泣いたって迷惑になるだけ。…これから団体戦もあるんだし)

まだまだ言い足りないこともあるけれど、今は切り替えが大事だ。

「すじこ…？」

心配そうにこちらの顔を覗き込む狗巻に向かって、Aは涙を拭い気丈に、否、自然に微笑んで見せた。

「もう大丈夫ですから。…心配してくれて、ありがとうございます」

そんなAの頭を優しく撫でる狗巻と、照れくさげに目を細めるA。


「なんかあの二人超仲良くない？俺だけ蚊帳の外感半端ねぇんだけど…」

距離感の近い2人にガーンとなる虎杖。


そんな彼を後ろから蹴り飛ばす釘崎は、若干涙目になりながら言う。

「おい、お前、何か言うことあんだろ」

「黙っててすいませんでした…生きてること…」



その後も釘崎の怒りはなかなか収まらず、虎杖は遺影用のフレーム的なものをずっと持たされるという罰を受けたわけなのだが。

「これ、見方によればかなりハードなイジメなのでは…」

「うっさい、しばらくそのままでいてろ」


釘崎の怒りもかなりのものであったようだ。しかし、虎杖にとってはこれくらい素直に怒りをぶつけられる方がまだマシであった。


問題は――

▼続き→←＃26　ビッグサプライズ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す