じんわり優しい 【黄猿】 ページ21
*
天気が悪くなりそうな曇天。
今日は曇りだったはずと思いながら街を歩いていると急な土砂降りになり、雨宿りできそうな場所へと急いで駆け込む。…ああ、濡れたからか服が肌に貼りついて気持ち悪い。
幸い、普段は羽織っている正義を背負うあのコートは本部に置いてきて良かったなとだけ思う。
しかしまあ、どうやって帰ろうか。傘なんて持ってこなかったし、こんな止みそうもない大雨だと走って帰るしか方法がない。
少し身体が冷えてきた。早く考えなければ。
「おんやァ〜？やっぱり傘を持たなかったんだねェ、A」
「ぼ、ボルサリーノ…？どうしてこんな所に居るの？」
曲がり角からゆっくりと歩きながら傘を差している大将、ボルサリーノに出会いこっちに来なよと手招きされる。もしかして傘を持たなかったことを知って迎えに来てくれたのだろうか。
海軍のコートを揺らして歩く彼は私を撫でて目的の物は買えたかなど聞く。
話の最中つい、くしゃみを隣でしてしまい小さく謝る。そうするとちょっとの間だけ傘を持っていて欲しいと頼まれた。
「そりゃあこんなに濡れてたら寒かったねェ〜…風邪引いちゃうからそれ羽織っときなァ」
頭から被せられた彼の羽織っていたコート。大きいから肩だと引きずっちまうからさァ、なんて言いながら傘をまた持ち直して抱き寄せながら歩き出した。
先程まで羽織っていたそのコートはゆっくりと身体を温めていく感覚がして、更にボルサリーノの匂いがして何だか落ち着く…匂いって言っちゃったら少し変だろうか。
そう思うと恥ずかしくなってまともにボルサリーノが見れなくなってきてしまう。
その異変に気が付いたのか首を傾げながら問い掛けられた。
「大丈夫かァい？具合が悪いなら抱えていくから言いなよォ〜？」
「い、いや大丈夫！そうじゃないからさ、うん。コートが温かいなぁって」
「…わっしのコート気に入ったァ？さっきコートを嗅いでいたから少し気にはなったけどォ」
「えっ」
無意識に嗅いでいたっていうの…？やばい凄く恥ずかしくなってきた。
赤面しつつ見られたくない気持ちからか、自然と顔を背いた。相手はどんな顔をしているのか見る余裕もない。
「そっかそっかァ、Aは可愛いねェ。わっしの匂いが気に入っちゃったのかァ」
「口に出さないで恥ずかしい…！」
上機嫌そうな本人から言葉にされ、羞恥のあまり凄く逃げ出したくなる。
そのまま優しく抱きしめられ相手の体温がまた、私の身体をじんわりと温めていった。
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零猫(作者1)(プロフ) - ねむさん» 有難う御座います！師走で何かと忙しいですが、またチマチマ頑張っていきます！ (2022年12月10日 12時) (
レス) id: 909ea21d0e (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 次の更新も楽しみにしています！ (2022年11月29日 9時) (レス) id: 5d4dcca220 (このIDを非表示/違反報告)
零猫(作者1)(プロフ) - 碧.さん» その言葉で大変頑張れます！( ᷇࿀ ᷆ )貴方の勇気が私の活力になりましたので、またお話が思い浮かんだら更新していきます！！( 'ω') (2022年11月6日 23時) (レス) id: f107f7bb54 (このIDを非表示/違反報告)
碧. - 何時も楽しく読ませて頂いております！ずっとコメントしたかったのですが勇気がでず今日やっとコメントが出来ました(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)旧三代将もウタも大好きなのでこれからも更新楽しみにしています！ (2022年11月5日 23時) (レス) id: 7eb027a135 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 零猫(作者1)さん» 新しく更新されたのも最高でした！ありがとうございます！ (2022年10月22日 17時) (レス) @page20 id: 8adf995a6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零猫(作者1) | 作成日時：2022年10月15日 18時
