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ある時、私はウタが禁断の楽譜を手にした現場に立ち会ってしまった。
破滅へと導く禁断の楽譜、“Tot Musica”。先に回収してしまおうとこっそりエレジアに踏み入れたのだが一足遅く、ウタが手に入れてしまっていたことに言葉を失った。絶対に渡してくれやしないことは目に見えて分かる事だろう。
ならせめてその歌がどれだけ悲痛で救われたかった人々の悲しみに溢れる楽譜だという事を、ウタに教えることが出来たらきっと大丈夫だろうと思っていた。
私は此処にずっと留まっているわけにはいかないし、追われ身として逃げているわけなのだから何週間かしたら旅立つことに。まあ、別の理由は船の上で一緒に居た頃からあったんだけど……本人には言える内容じゃない。
きっとウタには事前に伝えていたら引き止められるか、能力で閉じ込められる可能性がある事も考慮して半分嘘を混ぜて伝えたら了承してくれていた。ごめんね、ウタ。
私はその後にウタが初ライブを開催すると聞いて嫌な予感がした。チラっとしか聞いてはいないが、少しだけウタの計画を耳にしていた気がする。
良いものではないことだけは分かるけれど。
その日、私はエレジアに向かい試しにヘッドホンをしながらウタの様子を眺めていた。

『やはり予想通りだ。…観客の皆が全員眠っていく……“世界転覆計画”って言われていたのはこういう事だったんだね、ウタ』

暫くするとこの暴走に海軍がウタを取り押さえようと乗り込んできていたが、ウタは観客たちを兵力として高らかに声を上げた。…嗚呼、海軍が苦戦しているのが分かる。
そのまま頃合いを見つけるために様子見して眺めていたらマズい事に、ウタと今目が合ってしまった。その顔は驚いた顔で段々その表情は変わっていき、悔しさと怒り…そして悲しみが滲み出していた。
見つかったことが一番マズい為、すぐさま物陰へ逃げ込んだ。もはや無意味だけれど。
遠目で見ていたはずなのに目の前にはたった一人の愛しい彼女。今じゃ狂ってきているものの、私に対しての顔は恍惚そうで愛しそうな表情。………そう、私はこれが昔から困ってたんだ。
昔からウタは私に対して少し独占欲が強めで二人きりで邪魔されない時、こんな顔をしていてちょっとだけ怖かったのだ。

「……A、ずっとヘッドホンしてたなんて私の歌を聴いてくれてなかったんだ」
『ウタ…やめよう、こんな事。まだ止められる』

そう呟くとウタは私の肩を力強く掴み、ヘッドホンが取れる程に揺らし嘆く様に叫んだ。

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零猫(作者1)(プロフ) - ねむさん» 有難う御座います!師走で何かと忙しいですが、またチマチマ頑張っていきます! (2022年12月10日 12時) (レス) id: 909ea21d0e (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 次の更新も楽しみにしています! (2022年11月29日 9時) (レス) id: 5d4dcca220 (このIDを非表示/違反報告)
零猫(作者1)(プロフ) - 碧.さん» その言葉で大変頑張れます!( ᷇࿀ ᷆ )貴方の勇気が私の活力になりましたので、またお話が思い浮かんだら更新していきます!!( 'ω') (2022年11月6日 23時) (レス) id: f107f7bb54 (このIDを非表示/違反報告)
碧. - 何時も楽しく読ませて頂いております!ずっとコメントしたかったのですが勇気がでず今日やっとコメントが出来ました(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)旧三代将もウタも大好きなのでこれからも更新楽しみにしています! (2022年11月5日 23時) (レス) id: 7eb027a135 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 零猫(作者1)さん» 新しく更新されたのも最高でした!ありがとうございます! (2022年10月22日 17時) (レス) @page20 id: 8adf995a6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:零猫(作者1) | 作成日時:2022年10月15日 18時

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