【ONEPIECE】大将と同期の中将と海賊と【短編集】 (ページ40)

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違約した海軍中将　【２】ページ40

変わらず容疑を否認している彼女と、変わらない結末。
海軍の中の大多数が信じられないと頭を悩ますばかりでどうにか違う証拠はないかと探したものも居たが、残念ながらそんな物さえも見つからなかった。
不明な点もあるが物的証拠が素晴らしく完璧に揃い過ぎている。これではAの犯行だと諦めるしかなかったが、やはり関わっていた人たちは納得がいかない。

「妾は信じぬ。あの者が、Aがそうするような奴ではないと一番分かっておる…！」
「姉様…」
「真犯人が居るのであれば叩きのめしてやりたいところじゃ…ッ！」

親指の爪を噛みしめながら王下七武海、ボア・ハンコックは呟いた。
こんな事をする奴はタダじゃおかない、と憎悪の気持ちを膨らませながら。
有り得ないという声は募りに募る。

「ふざけんじゃねェ！私は認めねェからな！！アイツが、Aはっ……そんなことする奴じゃねェんだよ…っ」

ゴースト娘、ペローナは記事を見て口元を押さえつつ悔しさが混じった悲しみの涙を堪える様に流す。何でこんなことになった、と嘆く言葉が漏れるばかり。
Aは全体的に女性と仲が良く、信頼も厚かった。
だからこそ彼女に関わった女性陣はこの情報を聞いた時は酷く悲しんだ。

「とうとう私も囚人の仲間入りか、私の意識がない時に誰かに操られたとか？…いや、それはないか。有り得そうな気もするけれど」

退屈そうに牢屋の中で壁に石でガリガリと書いて記憶を書いていく。
彼女は何処まで記憶が残っているのかを書き出して、腕を組み考え込んでいる。自分の命の危機だから真剣に考えねばと黙る。
しかしAが色々と書き進め、結果的に出した答えは。
後に処刑の日が近付いてくることも彼女は知っていた。

さて、日が経って処刑は明日。きっと全世界が注目するビッグニュースとなるだろう。
日に日にAは変貌していき薄ら笑いで「私がやった」とだけしか言わなくなった。この様子にインペルダウンの職員たちは後に語った。
その様子は絶望を含んだ最初と全くの別人格な恐ろしい顔だった、と。
看守曰く何も言わなくなった日までの経過を見てきた自分たちからすれば見ていられないもので、最後の日は死を待つかのように行動も微動だに何もしなかったようだ。
ただ眠る前、見張りの看守に声は小さく「ありがとう」とだけ残していた。

誰もが信じないこの大事件。海軍の正義に大きく背いた中将は何を思うのだろうか。