検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:78,184 hit

5話 ページ5

男の後ろをついて行き、数十分。
仄暗い森を進んだ先に、薄気味悪い雰囲気を纏った建物が見えた。
どこかで、見たことがある気がする。
そう思いながら、足早に建物へ向かう男の背を追った。

無機質な冷たいドアを開いた先は、灰色だった。
沢山の白衣だったりスーツだったりを着た大人達と、ちらりとドア越しにこちらを覗く数人の簡素な服を着た子供達。

思い出した。そうだ、ここはあの人達が潰したファミリーの……。
本当に少ししか出ていなったから忘れていた。

私を連れてきた男がファミリーのボスであろう人に話をつけているのを横目に見ながら、彼らがいないか目で探す。

(ここにはいない、か……)

まあ、その方が私としては都合がいい。
……原作に関わる気はないから。

彼らを探すのをやめ、いつの間にか話を終えたらしい男の言葉に耳を傾ける。
それはまあ、簡単な説明だった。
寝床の提供と三度の飯を食わせてやる代わりに、我々の手伝いをしろ。
たったそれだけ。

大抵の子供は手伝いなんて、掃除だったり、ご飯の支度だったり、そんなことを思いつく筈だ。
だから、どんな手伝いかも知らずに首を縦に振るのだ。
飢餓に苦しむのは、嫌だから。

彼らの言う手伝い、それは簡単に言えば、実験台になること。
それを知らず、何人もの子供が絶望の淵に立たされる。
死ぬことを許されぬ鳥籠の中で。

だから、どうするべきか悩んでしまった。
それを見た大人達は、ほんの少しだけ、私に興味の目を向ける。
ここで悩む子供なんて、見たことはあまりないだろうから。

その視線を感じた私は、少しだけの辛抱だと、首を縦に振る。

ああ、これが、あなたの言う不幸なのか……?

6話→←4話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
79人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- いえいえー当然の事を言っただけですー喜んで貰えて光栄ですよー それと、音域を広げる練習、頑張ってくださいー諦めずに頑張れば報われるはずですからねー ふむ、来月ですかーコトハ@白亜さんの小説は奥が深いのでーワクワクしますねー楽しみにしてますー (2015年8月21日 12時) (レス) id: 7c8a29757a (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 杏さん» 返信ありがとうございます。そう言っていただけると作ってよかったと思えます…ありがとうございます。なるほど、その方法がありましたね…早速試してみようと思います。アドバイスありがとうございます。せめて再来月までに公開できるよう頑張ります…! (2015年8月20日 18時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
- 大丈夫ですー、ミーも返信遅くなってすみませんー 気に入った作品にコメントするなんて当たり前じゃあないですかー 音域が狭い、ですかーピアノで音を取ると結構出やすいですよーあとは、歌いたい曲を練習してー音域を広げるのもいいと思いますー 続編、待ってまーす (2015年8月20日 15時) (レス) id: 7c8a29757a (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 杏さん» 返信ありがとうございます、遅くなってすみません!わわ、続編までコメントいただけるんですか…ありがとうございます!嬉しいです!音痴というか出せる音域が狭いんですよね…なので歌が上手い人羨ましいのです… (2015年8月19日 0時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
- はいー、頑張って下さいー続編出来るまで此処を見に来たりしましょうかねー 一番に作品を見に行ってコメントしたいですー…音痴?そんなのカラオケが悪いんですー声の質は様々じゃないですかー (2015年8月17日 11時) (レス) id: 81089b7519 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:コトハ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年6月13日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。