17話 ページ17
ぱたんと小さな音を立て、手にしていた本を閉じた。
ため息をついて天井を仰ぐ。
書類に目を通すのを終えた私は、人が来るのを待っていた。
最近分かったことがある。
いくら記憶力がよくなったとはいえ、次から次へと入ってくる膨大な量の情報に、脳の処理が追いついていないようだ。
先日、24時間一睡もせずに作業に没頭していると、激しい頭痛と眩暈、吐き気に襲われた。
その後4時間ほど睡眠をとると、先程までの痛みが嘘だったかのように消えてなくなっていた。
「これはこれで、不便利ね」
そう呟いたことまで、鮮明に覚えてしまっている。
ため息を一つして、本を棚に戻す。
『百年の孤独』そう記された背表紙を指でなぞり、隣に並ぶ本に目を向ける。
背表紙には『ニューロマンサー』の文字。
「……」
ここにある本は私の実験に携わっていたあの初老の男の趣味だと言っていた。
本棚を改めて一瞥する。
悲劇もの、喜劇もの。恋愛小説、SF小説。フィクション、ノンフィクション――。
随分と統一性のない本棚だ。
きっとあの人は興味を覚えたものを適当に購入し、読んでいるのだろう。
そこだけは私と似ていて、肩を竦めた。
小さな音を立て扉が開いた。入ってきたのは若い生真面目そうな女性。
私を見ると、眉をよせ「何をしているの」ときつい口調でそう言った。
「書類、目を通し終わって暇だったので……ここの本は自由に見ていいと言われましたし」
いけませんでしたか？ と付け足して女を見る。
私の言葉が気に障ったのか、顔を歪ませ見下す。
「先生を呼んでくる。おとなしくしてなさい」
女は私を見ずに背を向けながらそう言い、扉の向こうに消えてしまった。
先生、とはおそらくあの初老の男なんだろう。棚の最下段に置いてあった厚さの薄い本を手に取りながらそう考える。表紙には『童話集』と表記されていた。
童話か、懐かしい。時間つぶしには丁度いいな。適当にページを開き、ぱらぱらと流し見る。
とあるページでめくる手を止める。
『憂悶聖女』。
これは確かグリム童話の初版に収録されていた話だったはずだ。
あらすじは知っているけれど読んだことはなかったため、興味が湧く。
ページをめくろうと手をかける。
その時、扉が開き先程の女性とあの初老の男が入ってきた。
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杏 - いえいえー当然の事を言っただけですー喜んで貰えて光栄ですよー それと､音域を広げる練習､頑張ってくださいー諦めずに頑張れば報われるはずですからねー ふむ､来月ですかーコトハ@白亜さんの小説は奥が深いのでーワクワクしますねー楽しみにしてますー (2015年8月21日 12時) (
レス) id: 7c8a29757a (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 杏さん» 返信ありがとうございます。そう言っていただけると作ってよかったと思えます…ありがとうございます。なるほど、その方法がありましたね…早速試してみようと思います。アドバイスありがとうございます。せめて再来月までに公開できるよう頑張ります…！ (2015年8月20日 18時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
杏 - 大丈夫ですー､ミーも返信遅くなってすみませんー 気に入った作品にコメントするなんて当たり前じゃあないですかー 音域が狭い､ですかーピアノで音を取ると結構出やすいですよーあとは､歌いたい曲を練習してー音域を広げるのもいいと思いますー 続編､待ってまーす (2015年8月20日 15時) (レス) id: 7c8a29757a (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 杏さん» 返信ありがとうございます、遅くなってすみません！わわ、続編までコメントいただけるんですか…ありがとうございます！嬉しいです！音痴というか出せる音域が狭いんですよね…なので歌が上手い人羨ましいのです… (2015年8月19日 0時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
杏 - はいー､頑張って下さいー続編出来るまで此処を見に来たりしましょうかねー 一番に作品を見に行ってコメントしたいですー…音痴?そんなのカラオケが悪いんですー声の質は様々じゃないですかー (2015年8月17日 11時) (レス) id: 81089b7519 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コトハ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年6月13日 17時
