55話 ページ10
小鳥のさえずりで目が覚める。
まるで少女漫画の主人公のような目覚め方だと眉をしかめた。
身を起して欠伸を一つ。ベッドから降りてカーテンを開け、ついでに窓も開ける。外はまだ陽の上りきっていない頃だった。
壁に掛けてある時計を見れば時刻は午前5時36分。いつもより一時間半近くも長く眠っていたようだ。
パジャマを脱ぎ、ロゴ入りの白いＴシャツにホットパンツ、オーバーニーソックスと次々に着替えていく。
今日は何をしようか。綱吉の相手が殆どだろうが、個人的には本屋に寄ってから公園にでも行ってゆっくりしたい。
そんなことをぼうっと考えながらリビングへと降りた。
「あら、おはよう紫苑ちゃん。随分早いのね。昨日はよく眠れた？」
リビングに入ると奈々が朝食の支度をしている途中だった。
丁度白米の炊き上がる音が炊飯器から聞こえる。
「おはようございます。おかげさまでゆっくり。……洗面所をお借りしますね」
そう言うと奈々は困ったように笑った。
何故だろうか、何か変なこと言ったかな？
「紫苑ちゃん」
しゃがんで目線を合わせながら彼女は言った。
「ここは、貴女のお家なのよ。そんなに気を使わなくていいの。私にも敬語なんて使わなくていいし、もっと、自由にしていいのよ」
言葉が出ない。
彼女はそんなことを思っていたのか。
「えっと、あの……まだこの環境になれていないだけ、なので、その……」
すみませんと言おうとしたその時、ふわりと暖かな心地よさに包まれた。
抱きしめられている？
「奈々、さん？」
声をかける。
「紫苑ちゃんは」と奈々。
「私がお母さんだと、嫌？」
そんなことはない。
美人で、優しくて、明るくて、料理上手で。誰もが思い描く理想の母親である。
そんな奈々が母親になってくれるなんて、これ以上にうれしいことはない。
ことは、ないのだけれど……。
「あの人にね、聞いたの。貴女のこと。勝手に聞いてしまってごめんなさいね、でも、どうしても気になって……ねえ、紫苑ちゃん気づいてる？ 貴女ね」
一瞬の間。身体が離れる。抱擁が解けた。
「ツッ君が私のことをお母さんって呼んで私が返事をしたとき、凄く羨ましそうな、悲しそうな顔をしてるのよ」
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コトハ@白亜(プロフ) - 紫蘭さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。一応代理戦争まで書く予定ですが、オチはまだ未定です(笑)ありがとうございます、頑張ります！ (2016年9月23日 19時) (
レス) id: c1b71e2fa1 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - とても好みの作品です！読んでいて飽きないし面白いです。代理戦まで続いてほしいですね笑そしてあわよくばXANXUSと付き合わないかなと← 更新頑張ってください！楽しみにしてます(*^^*) (2016年9月23日 18時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 一葉さん» はじめまして、コメントありがとうございます。返信遅れてごめんなさい。そう言っていただけると作家冥利に尽きます。ありがとうございます！頑張らせていただきます！ (2016年6月1日 16時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
一葉 - はじめまして、こんにちは。とても素晴らしかったです!!キャラとの関わり方や夢主ちゃんの設定など、最高でした!!更新楽しみにしています。頑張って下さい!! (2016年5月29日 12時) (レス) id: 2d8db9a382 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 沢優@主人公最高!!さん» コメントありがとうございます。本当ですか、そう言っていただけると嬉しいです！頑張らせていただきます！ (2016年4月10日 8時) (レス) id: 94ed4c9692 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コトハ | 作者ホームページ：
作成日時：2015年9月21日 17時
