76話 ページ31
目を覚ますと、ドオンと地を這うような音が聞こえた。
何の音だろうか。随分と大きな音だった。
例えるなら、そう。映画とかドラマでよく見る爆発シーンみたいな。
……まさか。
「紫苑！」
突然ドアが開いた。
勢いよくドアを蹴飛ばしたのは、片手に黒い鉄の塊を握った家光だった。
「何があったの」
問えば、静かな声でクーデターだと答えた。
吐き気を抑え込む。
「首謀者の見当は？」
とたんに顔をゆがめた。
「……ザンザスなのね？」
「……お前のその鋭さは恐ろしいと思うほどだよ」
彼が苦笑いをこぼす。
冗談じゃない、笑っていられるか。
「本当は一刻も早くこんなところから逃がしてやりたいんだが――外に出れば逆に危険だろう。俺が来るまで絶対にドアを開けてくれるなよ」
真剣な表情の家光に一度、深く頷いて手を握り締めた。
家光は荒い手つきで私の頭を撫でると、すぐに部屋から出ていく。
「――気を付けて」
ドアが閉まる瞬間、家光の驚いたような顔と、すぐ後の微笑みを目に焼き付けた。
完全に閉まったことを確認した後、ぺたんと力なく床に座り込んだ。
信じられなかった。
嘘だと思いたかった。
あんなにも釘を刺してきたはずなのに。
私の言葉は彼には届かなかったのだろうか。
「どうして」
なぜ、なぜなの？
貴方にこんなことしないでいてほしかった。
憎しみは、復讐は何も生まないと、残るのはただ虚しさと静寂だけだと。
知らないでいてほしかった。
罪でもいい、無知のままでいてほしかった。
私と同じ闇にのまれないでいてほしかった。
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コトハ@白亜(プロフ) - 紫蘭さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。一応代理戦争まで書く予定ですが、オチはまだ未定です(笑)ありがとうございます、頑張ります！ (2016年9月23日 19時) (
レス) id: c1b71e2fa1 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - とても好みの作品です！読んでいて飽きないし面白いです。代理戦まで続いてほしいですね笑そしてあわよくばXANXUSと付き合わないかなと← 更新頑張ってください！楽しみにしてます(*^^*) (2016年9月23日 18時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 一葉さん» はじめまして、コメントありがとうございます。返信遅れてごめんなさい。そう言っていただけると作家冥利に尽きます。ありがとうございます！頑張らせていただきます！ (2016年6月1日 16時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
一葉 - はじめまして、こんにちは。とても素晴らしかったです!!キャラとの関わり方や夢主ちゃんの設定など、最高でした!!更新楽しみにしています。頑張って下さい!! (2016年5月29日 12時) (レス) id: 2d8db9a382 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 沢優@主人公最高!!さん» コメントありがとうございます。本当ですか、そう言っていただけると嬉しいです！頑張らせていただきます！ (2016年4月10日 8時) (レス) id: 94ed4c9692 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コトハ | 作者ホームページ：
作成日時：2015年9月21日 17時
