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「最近Aちゃん寝不足そーだから心配なんだよねー」
私は初対面だが私の状況を知っているという事はずっと見ていたか、あるいは
「…大丈夫です、心配して頂きありがとうございます」
私の最近の悪夢はこの人が原因だろう
「大丈夫そうじゃないっての、オレちんならどうにかしてあげられるよん」
胡散臭い笑顔でそう言う、今の発言でほぼ確定だ
「これは私の問題なので、大丈夫です」
私もにっこり笑い離れる、引き止めないところを見ると今私をどうにかする気はないみたいだ
「んもー強がっちゃってーま、いつでも相談のるからさっ」
白々しくそう言って手を振ってどこかへ消えて行った
それに私も見えなくなるまで笑顔で手を振り返す、どっ、と疲れが押し寄せてくる
「おい」
「獄寺君」
声を掛けられ振り向けばそこには獄寺君が居た
「お前こんなとこで何してんだ、しかも一人で」
「京子ちゃん達と遊んできた帰りなの」
「ったく一人行動すんなって言っただろうが」
「もうすぐ家だから大丈夫かなーって」
その油断で先ほどの思わぬエンカウントをしてしまった、全く獄寺君の言う通りだ
「見回りのついでに家まで送ってやる」
めんどくさそうにしながらも送ってくれる事に先程の疲れが少しだけ和らぐ
「…お前大丈夫かよ、」
「へ?」
「最近!!元気ねぇーから10代目も心配してんだよ!!」
「…心配させちゃっててごめんね、ただの寝不足だから大丈夫だよ〜」
笑顔で言うとそっぽを向いていた獄寺君が急に歩みを止めた、どうしたの、と私も足を止めた
「…また、お前は一人でどうにかしようとすんのかよ」
獄寺君の口からそんな言葉が出るとは思わず驚く
「俺が言える事じゃねーけどよ、お前はもっと周りを頼れよ」
あの獄寺君に言われるなんて、よっぽど心配してくれてるのだろう
それでも、今は言えない、継承式前に余計な心配をさせたくない
「…ありがとう、でも今はさ、綱吉君の継承式の事だけ考えててよ。私の事は大丈夫だから」
しばらく沈黙が流れたが獄寺君はそうかよ、と言ってまた足を進めた
(こいつが何か隠してる事はわかってる、でも俺にはそれに踏み込む勇気も義理もねぇ。…野球バカや10代目なら、もっと踏み込めたんだろうか、)
(こうやって一線を引いてくる事に少しほっとしている自分も居て、情けねぇ)
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作者名：心葉 | 作成日時：2024年3月17日 16時
