勿忘草を貴方に。 (ページ8)

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○ ページ8

Ren Side

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「......っ！めめっ！！」

『あ、なに？』

「なに？ちゃうわ！何回も呼んでんねんけど！」

『ああ、ごめん、』

「.....もういい加減前に進まんかい。」

『......ん？』

「またAちゃんのこと、考えとったんやろ？」

久しぶりに耳にした"A"の名前に胸が切なさでいっぱいになる。

「ほらな。また泣きそうな顔しとる。」

『まあな、』

「......乙女やな、」

Aと別れてもう1年も経とうとしてるのに、
俺の心の中の大半を占めているのはAのことばかり。

『 ....なんで我慢できなかったんだろ、』

出会った頃から今日までずっと、

Aを嫌いになったことなんて一度たりともなかった。
喧嘩が増えたあの頃も、別れを告げたあの日でさえ、
俺は苦しいくらいAを愛していた。

「んな、なんで別れたねん。」

康二の言葉に、

ふとあの頃の自分を思い出す。

.

.

Aの一番になれているのだろうか、

Aはまだ幼なじみである彼を忘れられていないんじゃないか、

こんなにも好きなのは俺だけなんじゃないか、

一度持ってしまった疑いを、
俺は拭えずに、日を追うごとに
どんどん大きくなるばかりで。

俺に向ける笑顔さえも、

辛かったんだ。

もう、限界だったんだ。

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