太陽と月と紅い星 2 (ページ20)

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62話(Dreaming) ページ20

｢ねーねー、東雲さんの従兄って夢ノ先でアイドルやってるんでしょ？サイン貰ってきてよ！｣

あぁ、これは転校する前の学校か。

『…ごめん、サインとかはあんまりしない人だから無理だと思う』

だめ、そう思ってるのにあの時と全く同じ台詞を紡いでる。

｢は?!いやいやアンタなにいってんの？従兄妹なんでしょ？できるに決まってるじゃん！｣

『聞いた話なんだけど、なつm…従兄は部屋に引きこもってて叔母さんも仕事で忙しいらしくってどうしても無理なの』

そう、あの時の夏目は見るに見かねなかった。他の5奇人の人たちが夏目を守っていたお陰で被害は少なかった。でも、[兄さん]と慕っていた彼らが傷つくのは耐えられなかったんだと思う。

その日から、クラスメイトによる私への嫌がらせは始まった。

・・・・・・・・・
｢あーあ、さっさとサインくらい持ってくれば良かったのにねー｣

取り巻きの男子が前髪をつかんで持ち上げる。
これくらいなら私は抵抗できる。けどしない。この日ですべてが終わるから。

『……………』

｢ほら、何か言いなよその口は飾りモノ何かじゃないでしょ？｣

『…………』

｢ホンットむかつく、お前。ねーみんな今日はどこにする～？｣

髪、足、腕、終いには顔とか目とかそんな声が聞こえる。

｢じゃ、今日は髪ね。さーん、にー、いーち｣

ﾊﾞﾝｯ

｢?!何?!何があったの?!｣

｢‘へぇ、ボクの大切な従妹を傷付けてたのは君達なんだ？’｣

『………タイミング良すぎて吃驚したよ、夏目』

夏目｢でショ？｣

ほら、次々と教室に隠れてた先生達が出てきてる。

｢今日の出来事を１番の理由とし、貴校、夢ノ先学院に東雲Aの転校を許可します。佐賀美先生｣

陣｢ありがとうございます、校長先生。逆先も教えてくれてありがとうな｣

夏目｢ボクはただ雲ちゃんを助けたかっただけだヨ。奏汰にいさんにも連絡しないとネ｣

｢生徒達の処遇はこちらで決めますのでご安心ください｣

『ねぇ、夏目。私、夢ノ先に行くの？』

夏目｢プロデュース科にネ｣

『そっか、なら大丈夫だね』

あの時と全く同じタイミングで再び意識を失った。

あの、温かい場所に行くまで、もう少し。