さよなら、言えない。 / 登坂広臣

にじゅう。 ページ20

.









8月2日。









.









じわじわと暑さと、陣痛が私を襲った。









.









　 / 陣痛きた、病院行ってくる。









.









私は痛みに耐えながらも臣くんにメッセージを残し急いで病院へとむかった。









それは午後2時の頃。




.









「予定どうり、すごいわ。笑」









.









先生はそう言いながら笑っていた。









.









『う"ーーー!!!』









.









初めての陣痛、母もこんな痛みの中で私を産んだのかな、なんて思えば痛みが和らぎ。









.









数分感覚で襲ってくる痛みとは裏腹に、時間は過ぎ去っていき。









.









「おぎゃーおぎゃー！！！！！」









.









力強い泣き声が聞こえたのは、21:53で。









.









母や父、親友の凪咲-ﾅｷﾞｻ-や友達の姿はあったのに、









.









___ そこに、臣くんの姿はなかった。___

にじゅういち。→←じゅうきゅう。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す