さよなら、言えない。 / 登坂広臣

じゅうきゅう。 ページ19

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日に日に部屋の中に増えていくベビーグッズ。









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「 8月2日楽しみだな。」









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出産予定日があと2カ月に迫った6月のはじめ。









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カレンダーを眺めながら、そう呟く臣くん。









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『あと2ヶ月、か、笑』









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「なあ、A。」









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クルッとこちらを向く臣くん。









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「 夏空-ｿﾗ- ってどうかな、笑」









『そら？?』









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私が不思議そうにすれば、真っ白の紙に夏空と書かれて。









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「こいつの名前、夏空ってのはどう、笑」









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「夏の空って、なんか見てた落ち着くだろ？」









「だから、こいつもそんな男になってほしいな、って」









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臣くんは照れくさそうにそう語る。









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『...夏空、』









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心地よい風が私達を包み込み。









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『いい名前、』









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私も臣くんも、今ある幸せを噛み締めた。

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