罪とは19 【強欲編】 ページ22
【じわじわ、迫る】
http://uranai.nosv.org/img/user/data/f/1/d/f1d637c17ee01f279210d8b610b31f15.jpg
ー西谷Sideー
部活の休憩中。
アレが偶然聞こえたのがきっかけだった。
カラン、と、金属の何かが落ちるような甲高い音。
と同時に、最近入ったマネージャーの子の声が聞こえた。
「あ、東峰さん、これ落としましたよ?」
声の聞こえた方向を向くと、そこにはやっぱりマネージャーの翡翠と、その隣に旭さんがいた。
(翡翠、結構可愛いな…また今度話しかけてみようか)
翡翠の手元には、小さなスプーン。
旭さんは、それを不思議そうな顔をして受け取っていた。
「…これ、俺が落とした?」
と旭さん。
「はい、旭さんから落ちたのを見ました」
にこやかに答える翡翠。
「…?ありがとう」
「いえいえ!」
じゃあ仕事に戻りますね!と残し、翡翠は潔子さんと時宮のところへ走って行った。
旭さんは相変わらず不思議そうな顔をして、カバンにそのスプーンを入れていた。
「…何でスプーンなんか持ってるんだ?旭さん」
俺は、1人、そう呟いた。
・
・
・
…その時の違和感に気付いていれば。
…声を掛けていれば。
あんなことにはならなかったのかもしれなかったのに。
ーー
練習再開後。
「おっ…と!」
取り逃したボールが、珍しく変な方向へと飛んで行ってしまった時のこと。
(あ、ヤバいっ!)
「…痛っ!?」
それは勢い良く旭さんの背中に当たってしまったのだ。
「すいません!ボールが…!」
「いや、大丈夫だ。ちょっとヒリヒリするけど…」
困った顔でそういった旭さんは、「次は気を付けろよ?」とボールを差し出してきた。
「次、気をつけます!」
「おう、元気だなー西谷は。羨ましいよ」
「何言ってるんすか、そんなこと言ってたら萎えちゃいますよ?」
「すまんすまん」
お礼を言ってボールを受け取った時、俺は変な声が聞こえた。
【___ホシイ?___】
「…?何か言いました?旭さん?」
「え?いや、何も言ってないけど?」
「…そうですか」(空耳か?)
すると、遠くからスガさんが俺を呼ぶ。
「西谷!レシーブまだ終わってないぞー!」
「あ、すいません!…じゃ!」
「おう」
俺は旭さんに背を向けて走り出す。
・
・
・
・
青い炎が視界の端に見えた気がした。
【___ホシイなら、奪えばいいのに___】
115人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パリラ - スガさんの赤く見えたハサミって、「鋏の色こんなだったかしら?」からきてますか?ちががったらごめんなさい! (9月29日 17時) (レス) @page38 id: 326cf2b718 (このIDを非表示/違反報告)
せれあ(プロフ) - もともと悪ノPさんの大罪シリーズが好きだったのがきっかけで、この作品を読ませていただいたのですが、すっごく面白くてドハマりしました!最高です!!途中で入ってくる挿絵ととても素敵です!これを読み終わったら続編も読ませていただきます! (2015年7月31日 21時) (レス) id: 3ec0242342 (このIDを非表示/違反報告)
れーな(プロフ) - 蛇姫さん» はい、悪ノpさんの小説、悪ノ大罪シリーズを元にして書いています! (2015年6月1日 7時) (レス) id: bb172d2d2b (このIDを非表示/違反報告)
蛇姫 - 悪のPさんの楽曲をもとにしました? (2015年5月28日 19時) (レス) id: af8a90f48b (このIDを非表示/違反報告)
れーな(プロフ) - 黒うさぎさん» コメあざます!!面白いだなんて!続編公開するのでよろしくお願いしますねっ! (2014年10月11日 16時) (レス) id: a6cfea6e95 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:れいな | 作成日時:2014年9月10日 21時