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…隠す気もねぇらしい
抑揚をつけてこいつは言う

「何のつもり…とは、
どういうことでしょう?」

こいつの手振りと表情がじわじわと苛立たちを加速させる
俺は 必死に殴りかかりそうになるのを堪えていた

だが、そんなちっさい努力は全くもって無意味となった

「…ああ!もしかしてさっきの事ですか?

そういえば、
稲森さんと灰崎君は仲が"良かった"んでしたっけ!!」

けらけらと、嘲笑うように言い放つ
「てめえぇ!!!」
俺はこいつを壁にぶつけた
もう、1発殴らないと気がすまない


さっきの事

前は"良かった"
(そうさせたのは誰だ)
俺はもう限界だった
あの時もさっきのことも
…今のことも
小細工、裏切り、騙し合い、嘘
最悪の羅列だ

そして、とうとう嘲やがったんだ
しかも
(こいつが今あざけたのは、俺だけじゃねぇ…!!)


このままの勢いで俺は喉にでかかった思いを怒鳴り散らす、直前だった
こいつは さっきまでのわざとらしさを全て無くし、感情の無い目で俺を見る
あまりに急激な変化に俺の思いは喉に留まる

その瞬間の静寂が、嵐を呼び起こした

こいつは、ぽつりと独り言のように

「…よくもまあ…そんなに僕に突っかかれますね…
きっぱりと、彼を大きく突き放したのは
あなたのはずでは?」
そう
吐き捨てた

プツリ と枷が外れる

俺は
掲げていた"感情"を真っ直ぐ振り下ろした


あ、?
んだよ、当たってねーじゃねーか


俺の頭は
空だ 何も無い
全ての感情が抜け落ちたみたいだ

だが、この"感情"は 目の前の奴にぶつけなくちゃならない

そう本能が訴えている
だから俺はそれに従った
もう一度、高く上げる

当たるまでやりゃいい


そう、2度目を振り下ろそうとした時
何かに止められた気がした

さっさと振り落とせ

(ああ、そうだな)
気にせずにそのままやればいい

俺は腕に力を込める
すると、次は その腕に制止がかかった

大して強くもない制止だ 振りほどけ
(…離せ 俺はやんなきゃならねぇんだ)

不思議と無理やり振りほどく気は起きなかった
その制止は徐々に弱まっていく

『降り下ろせ』
本能が促す
(うるせぇ やるっつってんだろ)
けれど俺は振りほどけなかった
俺は 俺を
…制止させている奴を 知っていたからだ

徐々に腕から力が抜けていく

『何やってんだ』
本能がけたたましく罵る
(うるせぇすっこんでろ)

徐々に視界がクリアになっていく
そして、俺は 自分の右腕を見る
クリアになった視界に そいつはいた

「…稲森…明日人…」

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設定タグ:稲森明日人 , オリオンの刻印 , IF   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:Rein | 作成日時:2018年11月19日 3時

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