【IFルート】7話以降IF明日人さん (ページ18)

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「何のつもりとは、どういうことでしょう？
…ああ！もしかしてさっきの事ですか？
そういえば稲森さんと灰崎君は仲が"良かった"んでしたっけ？」
「…てめぇ！！」
壁に足をつけ声を荒らげる
…デジャヴだ
相当きているらしい
本来なら狙い通りだと、笑ってみせるはずだった

が、
不思議なことに俺は怒りに身を任せ続ける彼に無性に腹が立った

「…よくもまあ…そんなに僕に突っかかれますね… きっぱりと、彼を大きく突き放したのは
あなたのはずでは？」
彼の目が見開かれる
その瞬間優越感を感じずには居られなかった

(してやった。
もうこれで彼らの繋がりはない)

その事実だけでいい
俺は彼の手を振り払おうと首元の腕を掴んだ

突如、顔の横を風が吹き重く鈍い音が響く

俺は1拍置いて真横を見る

「え」

自分頭からほんの数センチズレた所には
壁には僅かにヒビが入り、欠けていた

「……は？」

状況を理解し全身の温度が急激に下がっていく
何か重いものがズシンとのしかかったように感じ、冷や汗が止まらない
彼を見上げる

「…ｯｯ!!」

彼の赤い目は見開かれたまま
そこには

"恐怖、憎悪、危惧"

3つの感情があった

(…なぜそんな目で見るんだ)

壁についていた拳がゆっくりと離れていく

俺にはそれが断頭台の刃の様に見えて、呼吸が出来なくなった

「…灰…ざ…」
喋る事すらままならない

もう一度、腕が振り上げられ

「…ｯｯ灰崎!!」

遠くで
悲鳴のような声が聞こえた

＿＿

「灰崎！やめろ！！」
俺は灰崎の腕を掴む
あの時と同じ、
頭の中に数日前のことが蘇った
「…ｯ…」
(俺じゃ止められなかった)

掴んだはずの手の力が弱まっていく

(あの時も、俺じゃ駄目だった)

自信が無くなっていく
俺の手は次第に落ちて行き
そして、とうとう俺は手を離した

「…明日人 …くん」
「稲森…明…日人…」

2人の声がする

(きっと、今回も俺は何も出来ない

誰か
誰か呼ばなきゃ)

俺は来た道を引き返して、走りながら氷浦達のいる方へ向かった

…