【IFルート】7話以降IF明日人さん (ページ14)

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…
俺の予想とは反して先に一星が練習場へきた
灰崎の姿は見えない
今話しているのだろうか
一星は1度ぐるりと場を見回すと監督の元へ行き何かを話して練習に参加した
特に変わった様子はなかった
寧ろ、シュートやドリブルは安定していて調子は良いらしい
万作を小突き目で促すと万作も驚いたようだった
「…灰崎は？」
「まだだ。万作、二人は顔を合わせたと思うか？」
万作は足首を解しながら言う
「灰崎と一星か？いや、合わせていたらもっと機嫌悪いんじゃないか」
「…だよね」
俺は靴紐を直す振りをしてしゃがみこむ

(一星は明日人を敵視していないはず、何かやったとは考えにくい。
…後で明日人と合わせた時にどういう反応をするか… それで何か掴めればいいけど)

俺は立ち上がって練習を再開した

…それから少し経った頃

練習場に灰色が現れる
足取りは重い
そして無言でボールを取りシュート練習を始めた
俺はドリンクを取りにベンチへ行きタオルで汗を拭きながらその様子を眺めていた

「どうした！威力は十分あるようだが… シュートの位置が甘いぞ！いつもの感じはどうした！もっと私を楽しませてくれ！！！」
「…るせ」
怒鳴る様子もなくボールを受取り後ろの列へ戻る
「いいぞー！もう一本こい！」
反対側から、円堂さんの声だ
一星が軽やかにボールを受け取る、不動君が口笛を吹いた
そんな一星をみた灰崎は目を見開く
そして一瞬で背けると列を外れていった

(…灰崎お前…なのか)
俺はドリンクを握りしめた

…「昼の練習は終わりです！！ボールを片付けて各自夕食の時間に集合してください！」
「夜練習もここでします、寒いので体を冷やさないように気をつけてください！」
マネージャーの声がしてボールの音が減っていく
散らばっていた全体が纏まっていった
万作に声をかけヨネさんに夕食を持っていく許可を取りに行ってもらう
俺は濃い青を探した
「一星！」
「わっ！はい、…えと氷浦さん？」
「合ってるよ、ちょっといい？」
「？はい、何か…」
「俺達夕食の時、明日人のとこ行こうと思っててさ一星も来ない？」
「…保健室の場所なら教えますが」
「俺方向音痴なんだ…一緒に来てくれない？」
一星は一瞬訝しげな表情をしたが、眉間のシワが和らぎ
僅かに、笑った気がした
「…はい。」

「うん、じゃあ食堂の入口で待ってて万作もいるんだ。夕食持って集合！」
「はい」
とても柔らかい返事だった