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「…タケミっち……」
30秒くらいしてとても小さく名前を呼ぶ声がした、よかった大丈夫そうだ
「はい!かっこいいマイキーくんどうしたんですか?」
背中をトントンと叩きながらゆっくりと話しかける、深呼吸もちゃんとしている様でしばらくこうしていようかなと思った矢先、次にマイキーくんの口から告げられたのは衝撃の言葉だった。
「…俺の…母さん…?」
「……えっ?」
このあと照れと羞恥とさらに感情のキャパシティを大幅に越える言葉を受けてしまったマイキーくんは、半ば放心状態で情緒末精神年齢が下がったようになっていたらしく、現場は騒然としていた
「タケミっち、、」
「どうしたんすか?マイキーくん」
とんとんと、ゆっくり背中をたたく。体温が伝わって本当に寝かしつけているかのようにも思えた
「…落ち着きましたか?」
「まだ」
なんかこうしてみてるともはや赤ちゃんのお世話に近い気がしないわけでもない
今は結局石段に座ってて、マイキーくんは足を抱えて体育座り。俺はその隣に寄り添っていた。
地面をぼぅっと見つめ続ける様子に少し心配になり、顔の前に手を伸ばすと不意に指を掴まれた。
「えっと…マイキーくん?」
そのまま握り込むような仕草に、俺は気づいてしまった。
あっこれ…赤ちゃんが親の指掴むやつなのでは…?
そう、1度考えてしまったら俺の頭は単純なもので
ひたすら今の様子が赤ちゃんぽくてかわいい〜っとなってしまったのだ。
「タケ…ミっち…大好きって…」
「ん?あ、はい、笑った顔好きっすよ!」
そう言うと嬉しそうに笑って
「オレも…」
と呟いた。じつはこれ、5回目くらい既にやっている。
マイキーくんが放心状態になってから30分、そろそろ戻るかなと思いつつ珍しさからもう少しなんて思っていたが、中々戻らないようだった。普通に心配になってきた。
「大丈夫かなぁ…」
「タケミっち…オレのこと好き?」
「わ、はい、好きっすよー」
「…ふふ」
そう言いながら頭を出してくるから、ついつい撫でてしまうのだ
なんか動物っぽいなぁと思いつつわしゃわしゃとした数分後、ハッとしたようにマイキーくんが立ち上がって何も無かったようにじゃあねと去っていったのだ。
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作者名:Rein | 作成日時:2021年8月11日 4時