【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ9)

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55話ページ9

～Aside～

私は考えていた。

やけに身なりがいい…キレイな英語…。

どうも普通のインド人ではない気がする。それから嫌な予感も。

「A？」

シエルが話しかけて来た。

「ん、ちょっと考え事」

「そうか」

「王ーー子ーー！ソーーマ様ーー‼ こちらにありましたよー‼」

元気なターバンの人が「ソーマ様」と、このインド人を呼んだ。

「うむ」

「おいッ‼ 人の話を聞けッ‼」

怒るをよそにシエルにこのインド人＿ソーマは階段を登っていく。

「まぁいい。多少手狭ではあるが、しばらく世話になるとするか」

いつの間にか私達は客室に着いてしまい…

「ちょっと待て‼ 何故僕らがお前らの面倒を見なきゃならないんだ⁉」

「他に泊まる宿も考えてないし。
英国人は寒空の下、恩人を放り出すのが一般的なのか？」

「～～～っ！大体っお前は何者なんだ！」

あー。

「シエル、多分この人は…」

「俺か？俺は王子だ」

シエルに教えようと思ったのに、先を越される。

「王子…？」

「このお方はベンガル藩王国、国王は第26子。ソーマ・アスマン・カダール王子にあらせられます」

ターバンの人はそう説明した。

やっぱり…。

「しばらく世話になるぞ、チビ」

ソーマはシエルを見て言った。

シエルはチビと言われてかなり怒っていた。

「では王子！お近づきの印にアグニめがチャイを淹れて参ります！寒い日にはしょうががタップリのチャイが一番です」

「あっお待ち下さい、お茶なら私が…」

さっさと行ってしまったターバンの人＿アグニを追いかけて、セバスチャンが行った。

「すごーーいっ！王子様なんですかぁーーっ」

フィニがソーマにキラキラと目を輝かせていて。

「お…王子様…」

つぶやいたメイリンは少し赤くなっていて。

「初めて見たぜ、生の王子様なんてよ」

バルドは反応に困っていた。

「許す、近くに寄れ」

ソーマがそう言うと、なんか騒がしくなった。

「ベンガルなんとか王国ってどんなトコですかーーっ？」

「カーリー女神とガンジス川の恩恵を受ける聖なる国だ」

「聖なる国の王子様ですだか」

「あれか、インドの東のほうか」

盛り上がっているなか、劉がシエルに言った。

「にぎやかな滞在になりそうだねぇ」

「…～～～っ出てけーーっ‼」

雪の降る今日はシエルの怒号がよく響く。

私はそう感じた。