【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ47)

今日:1 hit、昨日:20 hit、合計:76,378 hit

93話ページ47

～セバスチャンside～

「それより今日は女王陛下がいらっしゃると小耳に挟んだのですが…」

ウエスト様が坊ちゃんに言った。

「さあ？陛下はアルバート公が亡くなられてから、公(おおやけ)の場にはいらっしゃらないから」

「英国王室御用達(ロイヤルワラント)を頂くのですから、陛下には是非観客の前で我が社自慢のカリーを味わって頂きたいのですが」

「…」

坊ちゃんはウエスト様が話している間も、ずっとその冷たい目で睨んでいた。

「おっと、長話が過ぎましたね。ではまた後程！」

ウエスト様が懐中時計を見て、上機嫌に鼻歌を歌いながら去っていった。

「〝英国王室御用達(ロイヤルワラント)を頂くのですから〟…か」

「完全に優勝する気になっていますね」

「そういう人が負けた時、どんな顔をするか楽しみね」

お嬢様が悪戯な笑みを浮かべて言った。

「では、私もそろそろ出場者の控え室へ行って参ります」

♦

「セバスチャン殿」

控え室の扉を開けると、アグニさんがいきなり寄ってきた。

「お久しぶりです」

「何故このような品評会になど…」

とても驚いた顔で話す、アグニさん。

「我が主人の命令ですから」

「シエル様やA様が王子のことをお考えくださり、この様な手段にでられたのでしたら、すぐにお辞め下さい！」

私が返すと、アグニさんは切羽詰まった声で言ってきた。

「我が主がソーマ様を？ご心配なさらずとも、我が主はご自分とお嬢様とご自分の会社の事を第一にお考えですよ」

「お願いです。お世話になった方と戦いたくはないのです！」

まるで自分が勝つのが当然、とでもいうように話すアグニさんに、私は少しムカついた。

「貴方は貴方の、私は私はの事情でこの品評会に出る。ただそれだけの事でしょう」

「私は…負けるわけにはいかないのです…！」

「奇遇ですね」

私は冷ややかな笑顏で返した。

「私もです」