【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ45)

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91話ページ45

～Aside～

【にゃー】

「うわーっ」

私達はクリスタルパレスに来ていた。なぜなら今日が品評会の日、当日だからだ。

「あの大きな生き物はなんですか⁉」

フィニが着飾った生き物を指差してはしゃいでいる。

「あれはゾウといってな、神聖な生き物だ。俺の城でも飼っているぞ」

「スゲーな‼」

「あんな大きいの家で飼ってるですだか⁉」

今日は使用人の3人も連れてきており、ここにいる全員が初めて見るインドの文化に驚いていた。

もちろん、私を含めて。

そして、

もちろん、シエルとセバスチャンにアーテルを含めないで。

「貴方がた、あまり遠くに行かない様にして下さいよ」

セバスチャンの忠告など耳に入っていないようで、メイリンが興奮してソーマに聞いている。

「やぁ伯爵、A嬢。とうとう本番だね」

彼らを無視して先に進もうとしていた私達を呼び止めたのは、蘭猫(ランマオ)を抱いた劉だった。

「得意先(・・・)の前で女連れか、お前は」

シエルが怪訝な顔で言った。

「やだなー。蘭猫(ランマオ)は我の妹だよ、妹。血は繋がってないけどね。
今回の品評会は観客にもカリーがふるまわれるらしいから、この娘にも食べされてあげられるかなと思って」

劉が蘭猫(ランマオ)の頬をつつきながら言ったが、シエルはまるで興味がないらしい。さっさと踵を返してしまった。

「それにしても王子様の執事君は本気かね？」

無視されたことがなかったかの様に再び劉は話しかけてきた。

シエルがあまりにも嫌そうな顔をしてこちらを見るため、私が代わりに答える。

「神とまで思っている主人(ソーマ)を裏切ったのよ。本気なんでしょう」

「しかし王子様のためとはいえ、計画遂行後に女の子を返してもらえるなんて、我はぜっウソだと思うけどなあ」

「まあな」

む。ここでシエルが話し出した。

「計画遂行後にアグニを開放すればせっかく英国王室御用達(ロイヤルワラント)を得ても自分の悪行が外に洩れる可能性が高くなる。僕なら…」

「殺す？」

劉がシエルの答えを遮って聞いた。

「これくらい(・・・・・)のことでいちいち殺すわけがないだろう」

シエルが盛大なため息をついて劉を叱った。

いけない、いけない。

つい本音が出るところだった。

私なら…

「殺すわよ」