【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ44)

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90話ページ44

～Aside～

セバスチャンが取り出したのはファントム社のチョコレート。

「チョコレートに含まれるカカオは元々香辛料(スパイス)として使われており、独特な香ばしい風味を持ちます。そのカカオに油脂・ミルク・砂糖を絶妙にブレンドしたチョコレートはカリーに濃厚なコクを加えます。
ましてや、ファントム社のチョコレートはカカオ純度の高い最高級品。最高のカリーを作る為にこれ程適した調味料はないでしょう。
昨日、お嬢様に助言して頂きました。ガトーショコラの片付けをしている際に」

シエルがセバスチャンの話を聞いて、少し恨めしそうに私を睨んだ。

大方、「なんで教えたんだ。楽しみが減ったじゃないか」とでも言いたいのだろう。

「すごいぞA！お前の執事(カーンサマー)はたった1週間で神のカリーに追いついた！」

興奮そうに話すソーマに、私はまた、クスッと笑った。

～NOside～

「＿＿アグニ」

ウエストの屋敷で一つのカリーが出来上がる。

「アグニ、出来たか？」

「あぁ完成した」

アグニは持っている皿の蓋を開けた。

「これが俺のカリーだ」

中から出てきたのは青い海老のカリー。

「ベンガルの特産物といえば海老。そしてお前が一番得意なのも海老のカリーだ。それに加えて今回はただの海老じゃない。何せあの貴婦人(・・・)だ！
そしてお前のおかげてライバル店は根こそぎ出場辞退。残ったのは聞いたこともない三流ブランドと子供に人気の玩具会社(おもちゃがいしゃ)だ」

「⁉」

アグニは見せられた紙を見て驚いた。

ファントム社。そう、その紙にはファントム社の名前が書かれていた。

「ん？どうしたそんな顔して。安心しろ、誰も俺たちには勝てない」

～Aside～

「残念だが、このままでは奴らに勝てない。
〝追いつくこと〟と〝勝つこと〟は違う。お前は今ようやく神のカリーと互角に戦える状況になっただけだ。そうだろう？セバスチャン」

「現時点(・・・)ではそうなりますね」

「その顔は何か秘策があるんだね？執事君？」

「ええ」

「嘘はないな？」

「もちろん、私は嘘をつきません。
ファントムハイヴ家、執事の名にかけて必ず我が社に英国王室御用達(ロイヤルワラント)を！」