【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ36)

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82話ページ36

～Aside～

「いや、めでたしめでたしだね。
じゃあ我達は手を引くとしようか。この話を市警(ヤード)に持ってって後は任せたら？」

劉にソーマが慌てて言った。

「ま、待ってくれ！それじゃあアグニは…ミーナはどうなる⁉」

「さあ？」

シエルが欠伸をしながら言った。

「今回の事件は裏の住人(ぼくら)には関係ないこのがわかった訳だしな。こっちも慈善事業でやってる訳じゃない」

「…っ、わかった…」

ソーマが言った。

「確かにこれは俺の問題だ。俺一人でなんとかする方法を考えてみる」

「いい心構えだ」

シエルが私の顔を見ながら言った。

私はニッコリ笑う。

「じゃあ僕らは僕らで仕事(・・)をするとしよう。こんな下らない事件で冬のロンドンに呼び出されたんだ。駄賃くらい貰って帰ってもいいと思わないか？」

「英国王室御用達(ロイヤルワラント)は3年の無償奉仕と品評会での成績によって授けられる。品評会は一週間後。そして幸運なことに(・・・・・・)有力なライバルは出場が不可能な状態…。
つまり、私達ファントム社が出場して勝利すれば英国王室御用達(ロイヤルワラント)は私達のものってことよ」

私達の発言に息を呑むソーマに、笑う劉とセバスチャン。

「製菓と玩具で御用達を得たら食品事業にも手を広げようと思っていたところだし、最初に品評会で御用達を頂けば話題になるのは間違いない」

「確かに、ファントム社の食品事業の旗揚げにはこれ以上ない首級になりそうだね」

劉はシエルの意見に頷いた。

「でも、今から食品事業部を作るったって一週間しかないんだよ？カリーの専門家やら機材やら店舗やら間に合うのかい？」

「そんなものは必要ない」

シエルはティーカップを置いて言った。

「そうだろう？セバスチャン」

イタズラな笑みを浮かべて。

「ファントムハイヴ家の執事たる者、それ位出来なくてどうします？必ずや英国王室御用達(ロイヤルワラント)を…」

「それは無理だ！」

完全にいいセリフを取られたセバスチャン。

「ウエストにカリー勝負を挑むなんて勝てる訳がない！」

ソーマが緊迫した顔で言う。

「どうしてだい？」

「あっちにはアグニが、神の右手があるんだ」